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【寄稿】今後数年における中国人的資源管理の趨勢(2014年01月24日)

【寄稿】今後数年における中国人的資源管理の趨勢(2014年01月24日)

 中国経済の成長と国家経済構造改革ニーズの高まりにより、中国企業の人的資源管理にも新たな変化の趨勢が見られる。この一大変化は人材環境、経済レベル、人材の需要と供給などの変化発展に即しており、今後の在中外資系企業経営の参考になる側面を持っている。

1.人的資源管理には中国独自の方法を採る必要がある

 中国は国営企業であれ、民間や合弁企業であれ、人的資源管理は西洋において喧々諤々の議論が交わされ、あらゆる理論が花開いたが、共通しているのは人的資源管理システムや人材戦略の遅れ、人材不足の問題を解決できていないことである。市場競争と環境の変化に伴い、中国式人的資源管理もまた変化している。中国の国内事情、中国人の特性、中国企業家の思考に符合し、中国企業管理レベルを上昇させる人的資源管理モデルの構築こそが2014年企業人的資源管理の大きな趨勢の一つである。

2.人的資源管理は直感型から效率効果を基本とした精細型へ発展している

 現在、中国企業の大多数、特に中小企業の人的資源管理は未だ直感的管理となっている。人的資源部組織構造が不完全でその効果も定かでなく、場当たり的な対処になりがちである。また企業家はますます人的資源管理の精ニ~化、標準化、規格化を望んでおり、そうすることで初めて経営発展戦略の実現が保障され、人材の発展ニーズを満たすことが出来ると考えている。ゆえに、効率効果を基本とした精細型人的資源管理は人的資源管理担当者による論理的思考と有効な運用を必要としており、利潤を中心とした人的資源管理モデルが中国企業の人的資源改革をもたらすのは必然的な趨勢であるといえる。

3.人的資源管理商品やサービスは差別化が進む。

 人的資源管理サービスは社員の雇い入れ、訓練、考課、賃金支払、労働契約管理などを除くと、その他のサービスを提供している企業は大変少ない。人的資源管理の商品とサービスは、競争力増強や企業の成長に基づき、その深化と細分化の必要に迫られている。例えば人材招聘はより精密かつ効果的でなければならないし、社員訓練なら効率的かつ実用的で、成果を出せるものにしなければならない。また、80/90後社員の柔軟的管理や社員の満足度管理、カウンセリング、訓練養成などは現代企業に必須といえる人的資源管理サービスである。ゆえに、人的資源管理は企業の業種、商品、社員の特性に応じてサービスを差異化しなければならないのである。

4.人的資源管理の原動力は権力志向から価値志向へ

 現在の中国企業、人的資源部署は経営者から一定の権力を与えられ、職権を行使し管理と指導を行う。このような権力に頼った方法では、企業内部での承認や支持を得られない。ゆえに、人的資源管理において、中間管理職及び基本職の承認と支持を得て彼らのために価値を創造しよりよいサービスを提供しなければならないことは必然なのである。人的資源管理は価値を原動力としなければならず、株主や企業内外の顧客、社員へ価値を創造して初めて人的資源管理者としての価値が生まれ、尊敬を得られるのである。

5.高級人材管理業務はより実務的に

 人材とは資源であり、資本であることは、多くの現代企業家にとって既知の概念であり認識である。しかし、企業内で「人をもって資本と為す」と掛け声を上げているだけでは意味がない。特に企業内部の高級人材管理戦略・奨励システムの改善はについては、具体的な措置と方案を出さなければならない。さもなくば熾烈な人材競争において、必ずや機先を制されるだろう。ハイアールグループCEO張瑞敏氏は、「21世紀の企業は、人材を得た者が天下を制す。ゆえに、企業の高級人材管理の実務化、高効率化、具体化は2014年企業が成長拡大するための重要な万能薬なのである。

6.ブルーカラーは企業発展の根幹であり、最大のニーズでもある

 政府の政策は中国企業を「製造」から「創造」へ転換させようとしているが、どのような道を辿ろうと、商品は人が製造し産出するものである。特に長江デルタや珠海デルタでブルーカラーが大いに不足している。長江デルタの高技能人材は実際の需要を25%満たすに留まっており、2万人前後の需要に対し、中級以上の職業資格を持つ者はわずか5000人しか居ないのである。ゆえに長江デルタにおける高技能人材の人材需要と供給は著しくバランスを欠いており、珠海デルタでは政府政策と中西部の開拓の影響で、中部もしくは西部へと移転している。大量の人材回帰、ブルーカラーが企業の根幹となっていることは間違いのない事実であり、それは今後より明確に体現されるだろう。ゆえに、人的資源管理者が如何に如ブルーカラーを管理、慰留し、人材育成にどのような改善を施すか?という点は熟慮すべき問題であり、業務を進める上で最も難解な課題の一つなのである。

7.高級人材市場の国際化が明確に

 現在長期的視野を持つ企業の多くは、そのサービスの為に早期から国際的人材を求めている。国内の著名企業であるハイアール、華為、レノボ、TCL等のような企業は、その管理やサービス提供のために早くからグローバルな人材をそろえている。浙江省の寧波、温州、江蘇省の蘇州、昆山、広東省の東莞、中山等の民間企業では、外国からデザイナー、技師、CEOなどの人材を招聘することは珍しくないし、うまくいった例も少なくない。更には中部や西部地区の長沙、武漢、成都、重慶等の地区も、政府主導により香港、アメリカ、ヨーロッパへ赴き、地域経済発展の為に高級人材を招こうとしている。ゆえに、2014年、新たな思想解放や経済発展の中にあって、国際化を視野に入れた新たな人材管理モデルをもって優秀な人材をグローバルに招聘するのが現在の趨勢である。

8.企業文化管理は人的資源管理の最高点である

 企業の価値観は社員の思考回路や行動パターンを統括する。業務における社員の目標、意思、行動の統一は先進的企業文化の構築に必要不可欠である。人と文化は企業競争力の源であり、企業の持続発展の基本的動力源であるから、文化管理は現代企業管理の最高点であるといえる。ではなぜ企業の組織変革と工程の再構築において、社員が戸惑いや疑念を感じ、また億劫になり、変革が上手く行かないのか?何故多くの「明星」企業が最終的に「流れ星」となってしまうのか?原因の大きな部分を占めているのは、企業文化の喪失である。企業文化の理念と社員の行動がひどく乖離した富士康事件はただの偶然ではなく、文化的な原因があるのである。ゆえに、企業が成長と安定、そして企業文化に宿る「精神」を必要とするならば、企業文化の管理とイノベーションは人的資源管理の重要な職能であるといえる。

 中国の人材市場は逐一新たに変化しており、経済構造のモデルチェンジは業種の優劣にも変化を与え、今後の企業の適応に課題を与えるだろう。中国の人的資源発展の趨勢を正しく分析、理解することが、企業の長期的な人材管理体制を形作り、また中国の発展ニーズにも符合するのである。