ホーム > HRニュース > 中国HRニュース >【判例】破産管財人は従業員との労働関係を構成する主体となり得るか?(2015年1月14日)

【判例】厳重な規律違反を理由として期間の定めの無い労働契約締結を拒否することができるか?(2015年2月11日)

【判例】厳重な規律違反を理由として期間の定めの無い労働契約締結を拒否することができるか?(2015年2月11日)

案例:

 呉さんは1981年10月より仕事を始め、1993年からは某国営企業でドライバーを務めていた。2002年6月に行われた企業改正で、呉さんは身分転換の補償金として2.6万元余りを受け取った上で某株式会社の配属となり、2002年7月1日から2012年6月30日までの労働契約を締結した。2012年6月、労働契約満了を目の前にして、呉さんは期間の定めの無い労働契約の締結を求めたが、会社側は相手にしなかった。7 月13日、会社側は呉さんへ労働契約終了を通達した上で、呉さんの解雇及び失業者登録手続を開始した。呉さんは9月1日労働争議仲裁委員会へ仲裁を申立て、会社側へ期間の定めの無い労働契約の締結を求めた。審議中、会社側は呉さんが在職中まともに仕事をせず、業務態度がだらけており、また厳重な規律違反があって、期間の定めの無い労働契約を締結する条件を満たさないと主張した。会社側は2011年10月、2012年1月、2012年4月の連続三四半期に渡り、人事部へ呉さんの職場離脱や業務態度の改善を求めており、また呉さんの所属する部門が人事部へ提出した報告書や規律制度、勤怠表などを資料として提出した。

争点:

 勤続年数が10年を越える労働者に対し、厳重な規律違反により期間の定めの無い労働契約の締結を拒否することができるか?

分析:

 

 「労働契約法」第+四条第二項には、「使用者と労働者は協商により期間の定めの無い労働契約を締結することができる。以下の状況にあって、労働者の求めまたは同意に基づく労働契約が成立したときは、労働者が有期労働契約の締結を求める場合を除き、期間の定めの無い労働契約を締結しなければならない。(一)労働者が当該使用者の元で連続して満10年勤務したとき(二)使用者が初めて労働契約制度を実行し又は国有企業改正により再契約した労働者で、当該使用者の元で連続して満10年以上勤務し、かつ法定退職年齢までの期間が10年に満たないとき(三)有期労働契約を連続して二度締結し、かつ労働者が本法第三十九条及び第四十条第一項、第二項規定に該当しない状況で、引き続き労働契約を締結するとき」

 

 我々は、「労働契約法」における期間の定めの無い労働契約締結には二つの状況があると見ている。まず一つは使用者と労働者が平等かつ自主的に話し合い、詐欺や強迫、事実の隠蔽など非合法的手段が無い状態で、規定に基づき期間の定めの無い労働契約を結ぶものである。もうひとつは同法に定める状況が出現した際、労働者の求めもしくは契約継続の同意をもって使用者と期間の定めの無い労働契約を結ぶものである。法で定める状況が出現すれば、労働者が労働契約を継続するか否かの主導権を握ることとなるので、使用者が同意しようとしまいと、労働者が労働契約の締結を求めれば使用者は必ずこれに同意しなければならないのである。しかもこれは期間の定めの無い労働契約である。法で規定する三つの状況でみると、(二)と(三)のケースが(一)のものより多い。もし(三)のケースで期間の定めの無い労働契約を締結するのならば、労働者は同法第三十九条、第四十条第一項、第二項の規定に該当しないから、厳重な規律違反はあり得ない。また(一)のケースでは、労働者が連続して10年間使用者で労働する以外に、その他の要件は何も無い。

本案件において、会社側は期間の定めの無い労働契約締結の法的要件を誤認している。「労働契約法」第十四条に定める期間の定めの無い労働契約締結の三つの状況のうち、(三)を(一)と混同してしまい、呉さんの職務怠慢や厳重な規律違反を理由とし期間の定めの無い労働契約締結要件を満たさないとしたのである。株式会社としては、もし呉さんに職務怠慢や厳重な規律違反があったときは、労働契約期間内に厳重な規律違反の内容を工会に諮った上で、これを理由として解雇するか、労働契約期間満了後に期間の定めの無い労働契約を結ばない旨通達しておくべきである。

 


        寄稿 --- 中智HR 法律諮詢部