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Whenever BizCHINA2月号に幣社(中智上海)副総経理徐伊文のインタビューが掲載された(2016年1月20日)

 近頃、中智上海経済技術合作公司副総経理、中智外企服務公司総経理徐伊文が日本語専門の著名経済誌《Whenever BizCHINA》のインタビューを受けました。インタビューでは、中国経済新常態下の企業人材戦略をテーマに、外資系企業から中国本土企業への就職トレンドの変化や、専門スキルが人材の判断基準となる等の観点から論述しました。

《Whenever BizCHINA》の編集長石原氏は、今回のインタビューはとても奥深い内容で、日系企業の経営層にとって大変参考になり学ぶ価値があるのではないかと述べました。今回のインタビューの日本語完全版及び中国語要約版はWhenever BizCHINA2016年2月号に掲載されています。全国発行部数82,000部。

 多様化へ向かう雇用形態
専門スキルで評価される時代

経済活動の主体は「人」。求められる人材像は経済を映す鏡であるとともに、優れた人材から選ばれることは企業の将来を左右する。では、日本人や日本語人材に限らず、中国では今どのような人材が求められているのか。一方、中国の人々の目には日系企業は、他の外資系企業や中国系企業と比べ、どのように映っているのか。国有大手人的資源総合サービス企業幹部に、中国経済の変化と絡めて聞いた。

就職トレンドは外資系→中国系

──中国経済の発展に伴い、企業の組織マネジメントはどのように変化しているか。

「例えばインテルは将来、成都工場に16億ドルを投資して、最先端の技術を導入すると発表した。IBMも中国企業とWin-Winの関係を構築するビジネスモデルへと切り替えた。かつて外資系企業は、先進性を武器に安価な人件費を利用することで比較的容易に利益を得られたが、中国系企業の成長と諸コストの高騰で、中国事業における投資とマネジメントの改革に取り組む動きが現れている」

──人材市場には、どのような変化が現れているか。

「例えば当社の15年の人材募集顧客のうち中国系企業は、国営企業が全体の14%、民間企業が32%で、外資系企業とほぼ同数となった。当社が扱う人材はホワイトカラーであり、これまで外資系企業からのニーズが圧倒的多数だったので、顕著な変化といえる。
中国経済がイノベーションやサービス、ハイテク主導型へと移行する中、中国系企業もホワイトカラー人材の獲得に積極的に動き始めており、給与面でも外資系企業との差は縮小・逆転するケースが増えてきた。また、外資系はこれまで“世界につながるドア”としてホワイトカラーに人気だったが、中国系企業の世界進出でそうした優位性も薄くなっている。
中国人は一般的に市場ニーズに敏感で、将来性のある分野は迅速かつ熱心に学習し、その業界で仕事を得ようとするので、外資系企業も激化する人材獲得競争で勝つためには、中国経済の潮流に対応した自己改革が必要といえる」

──中国ではIT産業が急速に発達しているが、人材ニーズは。

「もともとは外資系企業誘致のためのインフラ整備としてIT分野に注力してきたが、最近ではアリババや華為などの有力企業を中心に、独自の技術開発が進んでいる。人材、市場、開発力などさまざまな面で、質・量ともに世界屈指のIT大国といえるだろう。Industrie 4.0やIoT、中国製造2025やインターネット+なども追い風に、企業活動のあらゆる局面でITの利用が進んでおり、伝統型産業でもIT人材のニーズが高まっている。中国でもITエンジニアは人気職で人数も非常に多いが、それでも需給面では大幅に不足している」

語学力より専門スキル

──中国におけるビジネスモデルの面で、日系企業の現状は。

「率直に述べて、欧米系や中国系との差は大きい。まず日系企業のマネジメント層はいまだに日本人で固められていることが多く、中国人はどれだけ努力しても一定以上のポジションに昇進できない限界を感じ取っている。当社の日系企業へのアンケートでは、離職理由の34%が給与、25%が昇進制度への不満だった。
また当社のデータから見ても、日系企業は意思決定が遅い。慎重さは良い面もあるが、社会が急速に変化する中国市場に適しているか、考慮の余地があるだろう。
終身雇用を前提とした体制も課題だ。以前は中国でも好評だったが、特に若年層は将来性を感じた分野にどんどん移っていくので、優秀な人材の確保のためにも、時代に即したシステムが求められている」

──時代に即したシステムとは。

「人材版配車サービスとでも言おうか、必要なタイミングで必要なスキルの人材を雇用する、正規雇用ではないバーチャル雇用は、福祉の進んだ先進諸国の若者の間では人気だ。中国は会社員でないと受けられない福利厚生がまだ多く、潜在的な傾向に留まっているが、少しずつ変化していくだろう。企業側も中核人材は確定雇用し、それ以外はバーチャル雇用を取り入れるなど、複数の雇用形態を共存させることで市場の変化に柔軟に対処しやすくなり、労働者にも仕事のシェアで雇用が増えるメリットがある」

──中核人材の獲得に必要な取り組みは。

「中国市場は世界中から強豪企業が乗り込んでくる激戦区だが、それだけに人材の獲得競争も激しく、人材側も将来性のある企業を厳選してくる。人材側が重視するのは給与、企業のビジョン、人材に対するスタンスなど。社員が“会社から大事にされている”と感じられる企業は人気も高い」

──日系間取引の減少もあって、日本語人材の需要が低下していると聞くが。

「より正確には、語学力が人材の優先条件ではなくなったということ。これは英語にも当てはまる。語学力以上に専門スキルが重視されるようになっており、むしろ日本語能力が未熟でも、優れた専門スキルがあれば日系企業に就職しやすくなっている。世界各国から企業が中国市場に乗り込んでくる一方、中国企業も世界各地に乗り出している今、人材ニーズは世界的に一様化に向かっている。何語を話そうと、世界で通用する実力を持っている人材が必要とされる時代になりつつあることは、良い潮流といえるのではないか」

【中智上海経済技術合作公司】

人的資源に関する包括的コンサルティングサービスを20年以上にわたって提供しており、外資系企業の現地化なども支援している。在中日系企業に対しては専門のサポート機関「日本企業サービスセンター」も設置しており、3~5年以上20年近くまでの日本企業就労経験のあるメンバーが、日本企業・日系企業の経営に関する知見をベースに、政策法規や人事関連のコンサルを展開している。現在上海だけで3000社以上の日系企業にサービスを提供している。


「中国でも企業の国際化が進む中、当社は人的資源の面から産業のアップグレードに貢献していく」と語る