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【寄稿】在中日系企業の進退に関する考察(2016年6月28日)

 2015年上半期は、シチズン、ノキアが中国の広東工場を閉鎖し、松下、ダイキン、シャープ、TDKが製造拠点を日本へ戻したほか、ユニクロ、ナイキ、フォックスコンなど一部有名企業が東南アジア諸国で新工場の建設を開始している。2016年、アメリカと日本の一部製造業では「本土回帰」を加速する動きが見えている。これらの動きは中国で絶え間なく上昇を続ける人件費や、中国本土の労働者保護政策と直接的な関係がある。

そんな中、在中外資系企業は進退を、また産業転換による成長を考え始めているが、その前にあるデータを見て頂きたい。このデータは今年我々が収集した四半期のデータであり、2016年5月末までに394社から回答を得た。うち日系企業は84社で、21%を占めていた。業種別では、今回調査に参加企業のうち、製造業は41%、非製造業は59%であった。これより、2016年の企業内部要員計画状況から、在中各企業の実際のやり方を紐解いていこうと思う。


  

 下図は企業全体(外側)と製造業(内側)の企業内要員計画状況を対比したものである。企業全体を見ると、半数以上である51%の企業が(企業内部の)要員を増やしており、22%が変わらず、27%の企業が要員を減らしている。これに対し、調査に参加した製造業企業のうち29%が以前と変わらなかったものの、3分の1の企業で要員を減らしている。企業全体と対比すると、日系企業の要員計画は更に保守的で、39%の企業が要員を増やしているものの、28%が以前と同じままになっている。日系製造業企業では要員の減少が更に顕著で、その40%が要員を減らしているものの、依然35%の企業が要員を増やしている。


  

 中国の政策全体と市場環境から、人件費の上昇は各企業が確実に直面している問題であり、多くの労働集約型製造業はより人件費の低い開発途上国への移転を余儀なくされている。しかし中国は世界の人口の1/5を有する国であり、高品質な商品の消費力が比較的強い。それに加えて、李克強総理は就任後、実体経済振興策である「メイドインチャイナ2025」を打ち出している。日系企業の進退問題に関して言えば、自社製品の市場供給と人件費の上昇状況を総合的に考慮し、人的資本の投資収益と外部市場との対比を総合的に分析した上で、人事コストが企業の価値を最大限高めるよう合理的に人事配置する必要がある。