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【寄稿】業績考課管理に関する考察(2016年7月20日)

 5月末、中智人力資源調査データサービスセンターでは「従業員の業績考課と奨励管理の実践」に関するホットイシューについて調査を行った。今回の調査では主に業績考課の管理制度、考課方式、考課期間、指標設定及びウエイト比、考課結果の評価及びその影響、ボーナスの分配係数とボーナスの比率、HR部署の考課管理における業務及びその課題などについて調査を展開した。

調査では、6月末までで計280部のアンケートを回収し、有効回答258部、うち日系企業回答分は64部という結果であった。現在在中企業は、企業管理の一つとして業績考課を依然非常に重視しており、伝統的産業の企業ではKPIやMBO方式の考課基準を採用し、業務成績指標をメインに考課を進めている一方、一部新興ハイテク企業やWeb金融企業ではOKR等の新たな考課方式を上級管理者や技術職員の考課補助に試用している。


  

 企業が業績考課を行う際、一般的には業務成績、業務能力、勤務態度の三方面から従業員を評価する。投資国別の各指標の評価割合を見ると、中国の民間企業及び国有企業は業務成績を重視する傾向にあり、国有企業は勤務態度と業務能力を同等に重視していることがわかる。外資系企業では、欧米企業は日系企業より業務成績を重要視しており、日系企業は他国企業より勤務態度をより重視している。


  

 大多数の企業経営陣は一般的に経理及び経理以上の職位に着目しているが、今回の調査で日系企業が「経営陣の評価が必要な職位は多いが、特にウエイトを置いている職位は無い」傾向が浮き彫りとなった。


  

 業績考課結果の影響について、調査では97%の企業で業績考課の結果をボーナスに、81%の企業で賃金に反映させているほか、69%の企業が昇進の依拠としていた。しかし業績考課の結果を従業員の訓練や配置転換に生かしている企業は、わずか1/4に留まった。


  

 業績考課はもろ刃の剣であり、よく用いれば一定以上の業績アップが見込まれるが、やり方を誤ると従業員に排他的心理を生み出し、生産性に悪影響を及ぼしてしまう。人的資源を取り扱う部署は、その従業員を使用する部署と協力して業績考課体系と基準を確立しなければならない。また、実際の考課においてはそのプロセスと方法を把握し、従業員の所属する部署主導による考課を行い、考課の公平性と合理性を確保した上で結果を従業員へフィードバックさせる必要があると言えるだろう。