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6月22日---2017年総第11講【《日本人総経理が知っておくべき中国ビジネスのリスク》】開催のご報告

  さる6月22日(木)、2017年第11回講座を「中智上海会議中心」で開催いたしました。

  開催に先立ち、中智日本企業倶楽部部長の馮串红から、参加者へご挨拶をしました。

  最近、当倶楽部が行ったアンケート調査によると、80%近くの日系企業が非日系企業の取引先を持ち、また売上げの半数以上を非日系企業が占めていると回答しました。
    この様に、日系企業以外での取引が増える中、中国でのビジネスリスクを十分に理解し、健全な経営環境、経営モデルを構築する事が皆様の希望だと思います。
    中智日本企業倶楽部・智櫻会では、会員企業様の経営課題解決のため、多岐にわたるセミナーや交流会を開催しています。
    本日は、日中の法律問題に詳しい弁護士をお招きし中国の契約、労務問題、知的財産権、商業賄賂等の法律リスクについて勉強会と質疑応答を行います。ぜひ、この半日を利用して、少しでも皆様の悩みや課題が解決できることを期待します。

  今回のセミナーには、櫻華国際貿易、上海櫻花文化用品、三井金属、優進精密工業、ナ・デックス、イオン、上海一実貿易、江蘇王子製紙、東芝電子、東洋タイヤ貿易、野村貿易、三菱電機機電、横浜油脂工業、新日本空調、同和企業管理、三井化学などの企業に参加いただきました。

  セミナーの講師は、大江橋法律事務所上海事務所の首席代表 松本 先生、同事務所の孫 先生が担当しました。松本先生は京都大学法学部卒業後、北京大学法学院を修了し、長年在中日系企業の法律問題を数多く手掛けています。

  講義は、前半を松本先生が取引に関するリスク、労務に関するリスクについて解説しました。
    取引に関するリスクでは、契約の署名は法定代表者が行っているか、会社印が偽造されたものでないか確認することが大切であると述べました。他に、中国の品質基準に関する法律や製造物責任に関する法律のポイントを解説しました。
    担保について、中国では日本と異なり不動産だけでなく動産にも抵当権を設定できること、反対に土地所有権自体には抵当権を設定できない事等、日中の制度の違いを解説しました。その他、質権や留置権等、商取引でよく利用される担保権を紹介しました。
    また、日中取引では、紛争解決手段として、裁判所ではなく仲裁機構を利用するよう契約書に記載することが重要であると述べました。労務に関するリスクについては、採用から労働契約終了までの流れに沿って注意すべきポイントを解説しました。

  休憩をはさんでの後半は、孫先生が知的財産権に関するリスク、商業賄賂に関するリスクについて解説しました。
    知的財産権に関するリスクでは、近年商標の悪意登録が問題になっていることを紹介し、近年日系企業が遭った悪意登録の典型事例と侵害行為の対応策について説明しました。侵害行為の早期発見には、代理店や販売先との契約に、模倣品等を発見した場合には報告するよう義務付けたり、展示会、業界機関誌やインターネットを定期的にチェックする等工夫が必要であると述べました。また、侵害行為は複数の企業や個人が関わっているケースも少なくないので、きちんと事実調査を行う事が大切だと述べました。
    商業賄賂に関しては、まとまった法律がある訳ではなく、反不正当競争法、刑法、業法規定など複数の法律に規定されており、このことが企業にとって理解を難しくしていると指摘しました。商業賄賂と認定されるかどうかの判断基準として、会社の正式な会計帳簿に記帳されているかが一つのポイントになると解説しました。

  講義終了後の質疑応答では、法律的な堅い話が続いたこともあり、参加された総経理の皆様は少々緊張、遠慮されている様子を見て、馮串红部長から、遠慮心配せずに、皆様の日頃の悩みを共有しましょうと呼びかけ、会場の雰囲気を柔らかくしました。

  その後参加者から、営業上の接待や労働契約の更新、不正通報制度など多くの質問がありました。講師のアドバイスを聞きながら、皆様熱心に交流と情報交換をされていました。

  最後に、馮串红部長より、今日の勉強で心強くなったと思います。明日から元気に安心して会社での指示や判断が出来るようになれば幸いです。今後も経営上の悩みやご相談がありましたら、中智の力を借りて、法律を守って経営すれば解決できない困難はないと信じています。と述べてセミナーを締めくくりました。

  「中智日本企業倶楽部培訓室」で実施するセミナー・学習会に関心をお持ちの企業様には詳細実施スケジュールもお渡しできます。お気軽に弊社会員サービス部までご連絡ください。

       

講義風景1


講義風景2

 

講義風景3


講義風景4

 

  


【講座の目的】

  中国現地法人の総経理は、日常の経営において、「日本ではありえない」と思われるトラブルや出来事に遭遇するケースが少なくありません。   中国のビジネス環境は経済発展に伴って改善されつつありますが、中国特有の商習慣や考え方により、債権回収、労務問題、紛争解決及び当局との対応等、その対応を誤ればリスクとなりうる問題があります。   本セミナーでは、主にリーガルの観点から、日本人総経理として知っておくべき中国ビジネスのリスクの典型例とその防止策、対応策を、事例を交えながらご紹介致します。



【講義内容】

  第一部分:取引に関するリスク(債権担保、債権回収等)

  第二部分:労務に関するリスク(労務問題)

  第三部分:コンプライアンスに関するリスク(企業内不正行為、贈収賄等)

  第四部分:知的財産権に関するリスク(模倣品、知的財産権等)

  第五部分:その他気をつけておくべきリスク

  【講師紹介】  

  【講師】松本 亮
京都大学法学部卒業、北京大学法学院修了。 主な活動:現代アジア法研究会、大阪弁護士会渉外実務研究会、環太平洋法曹協会(IPBA) 取扱分野:海外投資、国際取引、M&A、事業再生・倒産、企業法務、一般民事、中国(香港、台湾を含む)関連法務、アジア新興国法務 主な著作:「中国における財産保全(最高人民法院の財産保全案件の処理に関する若干問題の規定を中心に)」、「外商投資企業に対する管理方法の変化~事前審査制度から事後届出制度へ~」、「中国民商法の理論と実務[97] 中国向け越境eコマースの仕組みと法的留意点」