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聞いてみなければ解らない!人物インタビューシリーズ

『尼普洛貿易(上海)有限公司 松野下 亮 董事長総経理 インタビュー!』2022/10/31

<strong><font style="font-size:19px">医療機器の製造から病院経営まで、中国の医療品質向上に貢献 </font></strong>

医療機器の製造から病院経営まで、中国の医療品質向上に貢献

<strong><font style="font-size:19px">——尼普洛貿易(上海)有限公司 董事長総経理 松野下 亮 氏</font></strong>

——尼普洛貿易(上海)有限公司 董事長総経理 松野下 亮 氏


 
尼普洛貿易(上海)有限公司
松野下 亮 董事長総経理

 

北京外国語大学卒業後、98年にニプロ株式会社へ入社。入社後はアジア方面業務や物流業務などを担当する。その後、01年に北京事務所首席代表に就任、10年に尼普洛貿易(上海)有限公司の董事長総経理に就任し現在に至る。

 

◆◆◆ 世界中のあらゆる医療ニーズに応えるグローバルな総合医療メーカー ◆◆◆

「ニプロの創業は1947年、電球再生事業でのスタートでした。その後、1954年に京都(後に大阪へ移転)で日本硝子商事(現ニプロ)を設立し、アンプル用硝子管などの製造販売に着手し、60年代には資本参加や買収を通じて医療分野への進出を果します。そして70年代からは医療機器事業へと本格的に軸足を移します。その象徴的な製品がダイアライザ(人工腎臓)です。この時から、人工透析を必要とする多くの患者さまと、歩みをともにしてきました。ニプロの医療機器の品質と信頼性は海外企業からも高い評価を受け、取引は世界各国へと広がっていきました。1988年には、海外初となる製造・販売拠点をタイに開設し、事業のグローバル化に踏み出しました。グローバル展開については、「地産地消」の考え方にもとづき、現地に生産および販売網を築き、世界の人々に貢献すると同時に安定供給に寄与することを経営方針とし、90年代以降、中国、ブラジル、米国、シンガポール等、次々と製造・販売拠点を拡大しました」と、松野下董事長総経理はニプロの歩みを紹介してくれた。


 

◆ 「地産地消」の考えに基づき、積極的に中国での製造を推進 ◆

1994年にニプロは中国へ進出する。

「94年に医療機器の製造、販売を目的とした尼普洛(上海)有限公司を設立、2003年に尼普洛貿易(上海)有限公司を設立し中国事業を本格化させます。「地産地消」の考え方にもとづき、積極的に中国国内に生産拠点を設けており、現在は内服液やワクチン用のガラス瓶を生産する工場を四川、吉林、河南に、人工腎臓治療の要であるダイアライザーやブラッドアクセスを確保するための製品等を生産する工場を、上海と合肥に設立しています。今後も取扱製品の国産化を積極的に進めていくことを計画しております」

2020年からは、新たな事業領域への進出に乗り出していると松野下董事長総経理は話す。

「当社ではこれまで、主に医療機器の製造販売という川上の事業に携わっていましたが、長年にわたり蓄積してきた治療のノウハウを活かし、最新の医療機器で患者さんに貢献したいという思いから、川下へ事業領域を拡大し、グローバルな病院経営を展開しています。中国においても2020年から地元企業との合弁で病院の経営を始めており、現在は、湖南省に2軒、四川省と遼寧省に各1軒の計4軒の病院を経営しています」


 

◆ 日本で高校卒業後、中国の大学へ進学 ◆

松野下董事長総経理は高校卒業後、日本の大学ではなく、中国の大学へ進学する道を選んだ。

「高校卒業後の進路に悩んでいた時、父から21世紀は必ず中国の時代になるから、中国の大学へ進学してはどうかと勧められました。はじめは父からの勧めに戸惑いましたが、成長著しい中国の大学で学ぶもの悪くはないなと思うようになりました。ちょうどその頃、北京外国語大学の国際交流学部が日本人留学生を募集していることを知り、これだと思い入学を決意しました。大学での4年間は、中国語をみっちり勉強しながら、政治経済など幅広く学ぶことができ、充実した学生生活を過ごすことができました」

松野下董事長総経理は98年に大学卒業後、ニプロ株式会社へ入社する。

「入社後は、大阪本社で勤務し、主にアジア方面業務および物流実務を担当しました。その後、01年から北京事務所の首席代表、10年から尼普洛貿易(上海)の総経理に就任しました。今年初めに駐在員が一人赴任しましたが、それまで300名超いる従業員の中で日本人駐在員は私ひとりでした。なので、社内では基本的に中国語で交流をしており、人材を採用する際にも実務力重視で外国語能力をあまり考慮していませんでした。ところが、最近では本社や海外支社とのオンライン交流が増える中で不便が生じることがあり、語学研修を提供するなど改善の必要性を感じています」

市場の発展スピードの早い中国では、それに対応できる柔軟な人事制度の構築が必要だと松野下董事長総経理は言う。

「あまり厳格にルール化しすぎず、ある程度の柔軟性を保つよう配慮しています。また、中国市場の発展スピードに対応するためには、それに合わせて人事制度の見直しが必要になりますが、間接部門に比べ、市場の変化に直接対応しなければならない営業部門のほうが人事制度の見直し頻度が多くなります。そこで、営業部門と間接部門の人事制度を分け、人事制度の変更が互いに影響しないよう配慮しています」


 

◆◆◆ 中国の人々の「健康でありたい」という願いに応えたい ◆◆◆

インタビューの最後に、今後の展望を松野下董事長総経理に尋ねた。  

「中国でも生活水準の向上にともない、毎年腎臓病患者が増加しています。これからも安心安全に使用いただける医療009用具の生産販売に加え、運営する病院を通じて、最先端の治療を提供することで、中国の人々の『健康でありたい』という願いにこたえられるよう努力を重ねてまいります」


中智の感想:

「地産地消」は、ニプロが20年前に中国事業を発展に導いた秘訣です。松野下董事長総経理は、中国語に堪能で地道な性格で、長年にわたり中国人従業員を率いて中国の医療の発展に尽くしてこられました。課長塾へは自費で参加されたことが今も印象に残っており会社で唯一の日本人駐在員として意識の高さに感服しました。

新たな時代、中国の人々の健康意識が高まる中で、ニプロの更なる発展をお祈りします!