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聞いてみなければ解らない!人物インタビューシリーズ

『大阪国際経済振興中心上海代表処 的場 正信 首席代表 インタビュー!』2024/5/22

<strong><font style="font-size:19px">大阪市上海市友好都市提携50周年記念特別インタビュー </font></strong>

大阪市上海市友好都市提携50周年記念特別インタビュー

<strong><font style="font-size:19px">大阪と上海、日中経済の架け橋として </font></strong>

大阪と上海、日中経済の架け橋として

<strong><font style="font-size:19px">——大阪国際経済振興中心上海代表処 的場 正信 首席代表</font></strong>

——大阪国際経済振興中心上海代表処 的場 正信 首席代表


 
大阪国際経済振興中心上海代表処
的場 正信 首席代表

 

同志社大学法学部を卒業後、1996年に大阪市に入庁。入庁後は東京事務所や政策企画室の報道担当などを経て、2017年から2020年まで大阪市上海事務所へ赴任し所長を務める。大阪へ帰任後は、経済戦略局国際博覧会推進室、大阪府都市魅力創造局での勤務を経て、2023年3月に再び大阪市上海事務所の所長に就任し現在にいたる。

大阪市と上海市は今年友好都市提携50周年の記念すべき年を迎えた。両市の友好交流の歴史や近年のビジネス交流の状況、中国企業の大阪進出について、大阪国際経済振興中心上海代表処(以下、大阪市上海事務所)の的場 正信首席代表(以下、所長)にインタビューした。

 

◆◆◆ 商人の町大阪の魅力とイノベーション精神 ◆◆◆

「大阪は、政治の中心である江戸に対して、古くから経済・文化の中心地として京都とともに『上方』と呼ばれ、独特の文化・伝統を育んできました。江戸時代には大阪は商人の町として繁栄し、日本中から多くの産物が大阪に集められたことから『天下の台所』と呼ばれました。今でも大阪には安くて美味しい食べ物が多いことから、グルメの町として日本だけでなく海外でも有名です。また、大阪は商人の町として発展したことから、自由な気風やイノベーション精神に富み、カップラーメンや回転寿司、カッターナイフは大阪で誕生したものです」と、的場所長は大阪について紹介してくれた。

 

◆◆◆ 大阪と上海の深い絆 ◆◆◆

大阪と上海が友好都市提携を結ぶきっかけは、両都市が似ていると言われていたことだと的場所長は話す。「大阪と上海、どちらも首都ではない経済都市であり、港湾都市でもあります。また、大阪人も上海人も義理人情に篤く、大阪弁と上海語のイントネーションが似ていると言われるなど、多くの共通点を持っています。このような背景から、友好都市提携を行おうという話が立ち上がりました。1974年4月18日、大阪市長を団長とする大阪市友好代表団、大阪「日中友好の船」の団員約400人、上海市民1800人が上海市の大講堂に集い、友好都市宣言が行われました。友好都市提携以来、両市は経済、文化、スポーツ、都市インフラなど幅広い分野で交流を続けてきました。1981年には大阪港と上海港の友好港提携、1995年には大阪市と上海市のビジネスパートナー都市提携を結び、友好を深めてきました。さらに毎年、友好交流項目協定を締結しており、昨年の協定は港湾の技術や都市インフラの交流、動物園の交流など、14項目にわたります。このように、先人たちの友好交流の積み重ねがあり、今年、友好都市提携50周年を迎えることができました」


大阪市上海市友好都市締結50周年記念活動のセレモニーで登壇する的場所長(中央)


大阪市・上海市友好50年の歩み

 

◆◆◆ 大阪市上海事務所の成り立ちと使命 ◆◆◆

「1996年に上海事務所が開設され、国際交流の窓口として大阪企業の上海をはじめとする中国との貿易や進出、販路開拓の支援を行ってきました。民間調査会社の調べによると、現在約2,000社の大阪に本社を置く企業が中国に進出しています。加えて近年では、大阪への企業誘致、観光客誘致のプロモーション活動を中国各地で積極的に展開しています。現在は来年開催される大阪・関西万博のプロモーションにも力を入れているところです」

大阪市のビジネスの魅力について的場所長はこう語る。「大阪市の経済規模は約1948億米ドルと、ギリシャと同程度の規模を誇り、あらゆるビジネスチャンスが豊富に存在することを示しています。大阪は『モノづくりの都市』として知られ、産業集積が進んでいます。優れた製造業企業からライフサイエンス、医療、新エネルギーなど、先進的な技術を持つ企業まで、多様な産業が集まっており、このような層の厚い産業集積は大阪の強みの一つです。さらに、大阪は日本列島のちょうど中間に位置し、空港が二つあり、国内外の交通アクセスが非常に優れています。大阪のビジネスコストは東京よりも安いことも大きな魅力です。例えばオフィス賃料は2割程度安価です。このコストの安さは、これから日本へ進出しようとする企業にとって大きな経済的メリットとなります。さらに大阪市では、大阪市内に拠点設立を検討中の海外投資企業や団体を対象に、最大6カ月間無料で利用できるオフィスを提供しています。このサービスは、まず大阪を実際に体験し、ビジネスパートナーを探したり現地の情報を収集するのに最適です。ぜひ大阪の多様な強みとサポート体制を活用して、ビジネスの新たな可能性を探って頂きたいと思います」


 

◆◆◆ 大阪に進出している中国企業の状況 ◆◆◆

「2001年に大阪府と大阪市、大阪商工会議所が共同で設立した大阪外国企業誘致センターの誘致実績によると、2022年度末までの22年間で、大阪に進出した外国企業は644社あり、そのうち中国企業は269社となっています。主な業種は、消費財や生産財(部品材料)を輸出入する貿易会社やサービス業の会社となっています」と的場所長は説明してくれた。

中国企業が日本へ進出する際には、仕事の進め方の違いに注意を払う必要があると的場所長は話す。「日本の企業はプロジェクトの詳細を詰めてから動き出します。それに対して中国企業は実際に動きながらプロジェクトの詳細を詰めていきます。私も中国企業と日本企業のビジネスを仲介する中で、中国側から依頼があった際、その段階では詳細が決まってない事が多く、日本側に問い合わせると、詳細について質問を受け、『まだ決まってないじゃないか、どうなっているのか』と指摘され、この調整に苦労することがよくあります。日本企業とビジネスをする際には、このようなビジネスの進め方の違いを理解しておくと、よりスムーズに話を進めることがでるのではないでしょうか」

 

◆◆◆ 距離の壁と情報共有の難しさ ◆◆◆

上海で仕事をするうえで、大阪と上海の距離が障害となっていると的場所長はいう。「お互いに離れているため、上海事務所からは大阪市の国際担当部署が何をしているのかよく分からず、逆に大阪市からも上海事務所が何をしているのか見えにくい状況に陥りがちです。情報共有が上手くできていないと、コミュニケーション不足により仕事がうまく進まないケースが多いと感じていました。そこで、昨年から週一回のオンライン会議を行っています。確かにコミュニケーション不足の解消にある程度の効果はありますが、現地の状況を実際に見ないと理解が難しいことも多く、言葉の説明だけでは伝わりにくいという、オンライン会議の限界も感じています」

 

◆◆◆ 大阪市と上海市の友好を次の50年へ繋げたい ◆◆◆

インタビューの最後に、今後の展望を的場所長にうかがった。「今年、大阪市と上海市は友好都市提携50周年を迎えました。この記念すべき年に、50周年事業を成功させ、次の50年へと繋げたいと考えています。また、来年の大阪・関西万博も確実に成功させたいと思っています。これらの行事を通じて、ビジネス交流や国際交流の発展の契機とし、上海市政府や中智など、皆さんの協力を得ながら、今後もさらに両市の交流を発展・深化させていきたいと思います」


中智の感想:

日企倶楽部智櫻会会員企業の中には、大阪に本社を置く企業や大阪出身の駐在員が少なくありません。的場所長には、前回の赴任時から中智日企倶楽部智櫻会の様々な活動にご協力いただいたいており、昨年に再び上海へ赴任されてからも、12月の日中ビジネス異文化講座に出席し、3年ぶりの再赴任にあたり、上海についての感想を参加者の皆様と共有していただいたり、今年の4月には、《上海之巔感謝会》会員招待見学会にご参加いただき、会員企業の代表と一緒に上海タワーを見学し、交流を深めました。上海と大阪友好の次の50年に向けて、大阪市上海事務所のご活躍をお祈りします!


2023年真の中日ビジネス異文化講座で挨拶をする的場所長


上海タワーで会員企業代表との集合写真

※「会社名、役職名はインタビュー記事発表時の名称です」