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聞いてみなければ解らない!人物インタビューシリーズ 第59回

『アラガン(中国)人的資源執行総監 蘆雪芬 女史 インタビュー!』2019/4/8

<strong><font style="font-size:21px">セールストップからグローバル製薬企業の人的資源トップへ</font></strong>

セールストップからグローバル製薬企業の人的資源トップへ

<strong><font style="font-size:19px">-アラガン(中国)人的資源執行総監蘆雪芬</font></strong>

-アラガン(中国)人的資源執行総監蘆雪芬


 

アラガン(中国)

人的資源執行総監 蘆雪芬 女史

 大学では薬学を専攻し、卒業後は強生(ジョンソン&ジョンソン)に入社。入社後、セールスの第一線で業務を開始し、セールスマネジャー、プロダクトマネジャー、全国セールス総監等を歴任する。

 その後、あえて高い地位を放棄し、シンガポール国立大学でMBAを学ぶ。修了後、再び強生香港に入社することを選択し、入社後にプロダクトマネジャーを務めた後、強生中国のマーケティングとセールスの職務を担当する。同マーケティング総監を務めた後、人的資源部門へ移る。

 2015年諾華製薬(ノバルティス)南中国及び香港の人的資源総監を務め、2017年艾尔建中国(アラガン)へ入社、アラガン中国人的資源執行総監に就任し現在に至る。

 

 

活気に満ちた革新的な製薬会社

 アラガンはアイルランドのダブリンに本社、米国に運営本部を置き、世界に14の生産拠点を持つ。主な製品は、神経科、アイケア、美容医療、消化器科、婦人科、泌尿器科、抗感染症等の7つの主要領域を網羅している。「アラガンは中国に進出して10年目を迎えたばかりの、まだまだ若い会社です。」Michelleは笑顔で答えた。

 アラガンは2009年に中国市場へ進出し、中国本社を上海に設置した。今では、現地化された800人以上の専門チームを擁し、その業務は全国28省50都市をカバーしている。アラガンは、中国国内の専門資格を有する私立の美容医療機関や公立病院と協力し、美容医療製品や眼科と神経科の製品を大規模公立病院に供給している。美容医療製品の中でも、ボトックスとジュビダームは市場をリードしている。2018年、中国市場は全世界で米国、カナダに次ぐ第3位にランクされた。今年、同社は30%を超える成長を達成し、カナダを上回るという目標に自信を覗かせている。


 中国市場の急速な発展について、Michelleは10年前と比べアラガンのブランドは多くの消費者に知られるようになったと述べた。一般的なイメージでは、製薬会社は研究開発と製造に責任を負うだけだ。「アラガンは伝統的な製薬会社とは異なります。私たちアラガンは、最も専門的な美容医療の理念と製品情報を、中国にいる美容医療の消費者に届けたいと考えています。」とMichelleは言う。

 この目的のために、アラガンはアリババヘルスと提携し、中国市場向けにデジタル化美容医療消費者教育とコンサルティングプラットフォームを立ち上げた。消費者は、オンラインとオフラインを結合したO2O体験モデルを通して、専門的な美容医療コンサルティングと豊富な診療を手軽に選択できるようになった。昨年、初めて参加した「双11」のイベントでは、三時間で1千万の取引高を記録し、初戦としては上々の成績を残すことができた。

 2018年には成都市政府と戦略提携を結び、美容医療専門家の育成と美容医療消費者体験の向上を図るため、世界初のイノベーションセンターを設立することに合意した。

 過去を通じて、中国の薬品に対する規制は厳格で、多くの製品が輸入できずにいる。近年、中国政府は医療分野のイノベーション、開発及び導入を奨励しており、医療イノベーションにおいて多くの開放措置を講じている。先ごろ閉幕した両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)の2019年政府活動報告において、「新興産業の発展を加速させるべく、次世代情報技術、先端設備、バイオ医薬、新エネルギー自動車、新素材等の新興産業クラスターを育成し、デジタル経済を強化する。」ことが提起された。中国政府の政策支援を得て、アラガンは今後より強力に新薬を導入できるようになるだろう。「医薬業界に春が訪れたようです。」Michelleは笑顔で語った。

 

従業員は最高のブランド大使

 アラガンブランドの発展は優秀な従業員なしに語ることは出来ない。2年前、会社は人材を獲得するために100%ヘッドハンティングに頼っていた。従業員の帰属意識は低く、中核人材が引き抜かれる事がしばしばあった。そこで1年前からアラガンではエンプロイヤーブランディングの取り組みを始めた。内部推薦制度を採用し、従業員のために様々な福利厚生プログラムを提供した。従業員のワークライフバランスをサポートするため、2019年から全従業員は毎年少なくとも15日の年次有給休暇に加え、年間最大で28日の年次有給休暇を取得でるようになり、更に1日の会社の創立記念日、1日のクリスマス及び従業員の投票で選ばれた「双11」と「児童節」を休暇日に加えた。ほかにも、従業員は月に2日、在宅勤務を申請する事ができ、業務に支障が無い限り毎週金曜日には午後4時に退社する事ができる。「私たちは、従業員が一生懸命に働いている間も、自分の家庭を気遣って欲しいのです。多様性を尊重し、従業員が自分たちのやり方で働く事を奨励し、会社は結果を管理します。」Michelleは語った。これらヒューマナイズされた施策を通して、従業員の内部推薦比率が大幅に上昇し、その割合は10%から現在では45%にまで増加しており、従業員の会社に対する支持を反映している。


 2019年の忘年会では、同社は初めて内部体験プロジェクトを立ち上げ、勤続半年以上の全ての従業員が無料で自社製品を使用できるようになった。クール体型セットと美容セットのうち、いずれかを選択し、従業員は自社製品の効果を体験する機会が与えられる。従業員の間で非常に人気のある福利だ。

 Michelleは、鼓舞され、励まされた従業員は会社のブランドとイメージを広めるための最高の大使であり、優れたブランドは会社と従業員が一緒になって作りあげるものだと信じている。

 

部門の壁を打ち破ることで、人材は急速に成長する

 アラガンはどの様な人材を求めているか?という我々の質問に対し、「大学の学部卒業は最低条件で、多くの従業員が医学を専攻しており、マーケティング部など一部の部門では、70%~80%の従業員は海外留学や職位転換の経験があります。大部分の職位で英語能力が要求され、以前と比べ経験者を探しているだけではなく、今では様々な職業経歴を持つ若い人たちが入社することを奨励しています。最も重要なのは学ぶ能力です。」とMichelleは答えた。

 従業員に全方位のキャリア開発ルートを提供するため、MichelleはHRチームを率いて2年を費やし、様々な高度な学習概念を統合してアラガンの人材開発システムを新たに設計構築した。アラガンでは、第一線の従業員と潜在能力の高い従業員の育成を最も重視している。講義形式の研修だけではなく、個々人からチームリーダまで従業員を育成することに焦点を当てた「イーグル」プランや「Arise」等の項目を提供している。同時に、同社にはメンター制度があり、主要部門の高級管理層と従業員が定期的に交流し指導を行っている。さらに一部の管理職人材を中欧に派遣しMBAを取得させている。中欧を選んだのは、中欧ではあらゆる業界の学生が学んでいるのを気にいったからだ。アラガンはこの様な業界の垣根を越えた雰囲気の中で従業員が他の業界から学び、インスピレーションを得られることを望んでいる。さらに毎年、従業員のために海外で実践経験を積む機会を与えている。去年、会社から5名の従業員が世界各国に推薦派遣され、その多くが元のポジションより高い地位に就き、中には中国を拠点にグローバルプロジェクト管理を担う者もいる。

 「これらのキャリア開発計画は、主にプロジェクト形式で進められ、様々な部門が一緒にプロジェクトを完成します。この方法は最も効果的に教育することができます。長く同じ分野にいると、往々にして視野が限られてしまいます。こんな時は、快適な空間から抜けだし、人のあらゆる方面の潜在能力を新たに開花させなければならない。」とMichelleは言う。「例えば、一部の英語力が弱い営業担当者は、プロジェクトに参加することで、最終的に英語でプレゼンを行えるようになり、自らの挑戦を成し遂げました。この様に大胆な任用戦略は、人材が急速に成長する素晴らしい環境を与えます。」Michelleは「お尻が頭を決める」という最近流行りの言葉を引き合いに出し、人は止まる事ができず、部門を超えて自分自身に挑戦する勇気がなければ、視界や考え方を切り拓くことは出来ないと語った。


 ここ二年以上の間、アラガンの人材には一つの特徴が見られる。それは若年化だ。同社の従業員は80年代生まれが中心で、90年代生まれは16%を占めている。「90年代生まれは特別なアイデアと高い文化的素養を兼ね備える若者の集まりです。」Michelleは続ける。「彼らは非常に自立しており、チームワークを好みます。欠点は少し自己中心的で、自省心を欠くように思います。しかし、彼らは多くの場合、優れた創造性と行動力を持ち、適切な教育と指導があれば、ゆっくりと会社の中堅幹部に成長してくれると信じています。」若手従業員達の情熱を刺激するため、アラガンでは90年代倶楽部を設立し、若手が自ら率先して会社のプロジェクトに参加できるようにしている。例を挙げると、彼らは自発的にカラ―ランを組織したり、会社のデジタルプラットフォームの創意工夫や「小艾顔習社」のWeChat公式アカウントの編集作業をしたり、日頃から社員全員を対象にWeChat投票等の活動を行っている。「私は本当に若い人たちと一緒にいるのが好きで、彼らの意見によく耳を傾けます。三か月ごとに開催される彼らのパーティーに出席し、大規模プロジェクトについてアドバイスとサポートを行います。」とMichelleは語った。

 

若者への言葉:大胆に考え、勇敢に戦い、潜在能力を発揮せよ

 最後に、この三つの言葉を全ての若者に贈ります。若者は、大胆に考えて果敢に夢を追い、十分に力の限り戦い努力して、この美しい時代に与えられたチャンスをつかみ、自分の大きな潜在能力を発揮して欲しいと、Michelleは言う。

 今後十年、中国の発展は無限大だとMichelleは感嘆し、中国には多くの企業が本社を置く二番目に大きな世界の中心になるでしょう。ますます多くの企業が中国に本社を構え、多くの新興産業の本土企業は、上海をグローバル本部としています。この時代に生まれた若者たちは幸運であり、懸命に努力している限り将来海外に行かずともグローバルリーダーになれるチャンスがあるでしょう。海外の人材は中国でキャリアを積むことに憧れ、中国語の勉強に励むことでしょう。ますます開放された中国で、若者の未来は無限の可能性があると信じています。そのためには努力奮闘することが必要です。

【中智からのお言葉】 上品で知的な言葉遣い、心を合わせることにフォーカスした視点、密度の濃い内容、医学的背景と国際的な視野、さらに営業、マーケティング、人的資源等の幅広い分野の経験と、インタビューの中で私たちはMichelleの視野と胆識、熟練さに深い影響を受けました。近年におけるアラガン中国の急速な発展は、Michelleの人材戦略に負うところが大きいのだと改めて感じました。アラガンが中国に進出して10年、中智は代表処を設立した時から共に歩み、アラガンの発展の歴史を目の当たりにできることを光栄に思います。Michelleには今後も中智企業倶楽部のプラットフォームで会員の皆様へより多くのご指導と経験の共有をしていただけることを期待します。


蘆雪芬女史と中智企業倶楽部インタビュー参加者


艾尔建(中国)微信公众号