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作業場は焼けるような暑さ…でも高温手当は実に少ない

2010年10月5日

実地調査
 作業場の温度は室外に比べて5~6℃高く、仕事中は汗びっしょりとなるが、会社は関連規定に基づいて高温手当を全額支給しなかったと労働者は苦情を訴えた。

 会社の発表によると、会社は経営状況を考慮して、旋盤工の高温手当の増加要求を見送ることを決めた。 法律専門家は、高温手当支給について国の法律がなく、その上懲罰措置も明確にしておらず、多くの場合、高温手当はむしろ人間性を重んじたマネジメントの反映だと指摘した。

 今夏、上海市は頻繁に猛烈な暑さに見舞われた。王氏が勤務している閔行区にある兆旺科技公司の旋盤作業場の暑さは限界に達していたが、会社が約束した高温手当は遅々として支給されなかった。王氏と同僚達は、この作業環境にしては会社が約束した高温手当は少なく、作業場の高温日の日数に応じて高温手当を支給すべきよう請求したが、会社はその要求を拒否した。

  作業場の最高温度が33℃超の日数に応じて高温手当を全額支給する会社はまれだということが記者の取材でわかった。しかし、高温環境で作業する労働者を保護することに対して、関連の国の法律がなく、労働法の中でも高温手当の支給基準を明確にしていない。これに対して、専門家は、関連法律の制定を強化し、関連の懲罰措置を明確にすることにより、労働者権益を保護することを呼びかけている。

従業員:
 高温手当は関連規定に基づいて支給されなかった 王氏は閔行区にある兆旺科技公司の旋盤作業場で携帯電話向けヒンジの生産に携わっていた。製品を作る条件として、作業場の密封性が必要とされていた。約100台の機械が24時間フル回転し、持続的に熱を出しているが、夏の時は何台かの扇風機のみ設置され、吹き出すのは熱風だけであった。

 王氏は、作業場の温度は室外に比べて5~6℃高いと推定した。80名の作業員は2交代制で働いていた。仕事中は長袖長ズボンの仕事着を着用する必要があり、旋盤作業に当たる時は、まさに焼けるような暑さであり、一日中汗が止まらなかった。製品検査を行う前に先に機械油で洗浄する必要があり、王氏は、機械油は非常に熱いので、それをこらえながら作業していると語った。このため、王氏と同僚達は全身にあせもができてしまった。

 王氏は、会社は去年、作業員に高温手当を支給することを約束したが、8月10日の給料日まで依然として去年及び今年の高温手当が支給されなかったと言った。王氏によると、たとえ会社が高温手当を支給したとしても、彼らは損をしたと感じるだろうと語った。会社が高温手当を支給する基準は1日10元で、1ヶ月 16日、1年に3ヶ月分の支給となるが、彼らの仕事環境は厳しく、実際に33℃を超えた日数は、高温手当の支給が規定された日数より大幅に上回った。

 同市の総工会(労働組合)の関連通知によると、企業は労働者を露天作業に当たらせ、或いは作業場の温度を33℃以下に下げられるため有効な措置を取ることができない場合、高温季節手当を支給すべきであり、基準は1日10元を下回らなければいけない。このため、王氏は同僚達と会社に対して高温手当の不足額を請求したが、拒否された。

会社:
 480元の高温手当は来月支給 一昨日の午後、東方早報の記者は閔行区光中路にある兆旺科技公司に訪れ、会社の関連責任者は「問題は既に解決した」との理由で記者の取材を拒否した。 会社の入り口に「旋盤作業は中止、問題処理に取り組む」との公告が張られ、当該公告によると、会社は既に旋盤作業員の訴えを真剣に受け止め、労働法規公告(兆(管)子2010-0032)で決められた高温手当支給原則に則り、作業員に高温手当を支給する。

 旋盤作業員による高温手当増加の請求について、会社は経営状況を考慮した上、見送ることを決めた。会社は組織的な集合体であり、旋盤作業員は時間どおりに職場につかない場合、無断欠勤として処理し、3日間連続して職場につかない場合、自ら離職することとして処理するとした。 昨日、王氏は東方早報の記者に対して、会社は9月10日の給料日に給料と今年3ヶ月分の高温手当480元を一緒に支給することを約束し、実際の高温日の日数を考慮に入れなかったと語った。これに対して、王氏は仕方ないというが、生計を立てるため、やはり時間どおりに出勤した。

サラリーマン:
 不満があっても口に出すことを憚る 高温手当が支給されるかどうか、いくら支給されるか、どのように支給されるかは、毎年夏になるとサラリーマン達が熱く議論する話題である。調査によると、大半の会社は同市総工会の関連通知に基づいて1日10元の基準で高温手当を支給し、1ヶ月16日分を支給する企業もあるが、同30日分を支給する企業もある。作業場で実際に33℃を超えた日数に応じて高温手当を支給する会社はまれである。

 某有名不動産仲介会社の従業員である杜氏は、今年、上海の高温日が続き、彼らは依然として毎日お客様を案内して不動産物件を見に行くが、会社は実際の高温日の日数に応じて高温手当を支給しなかったと愚痴をこぼした。 労働者の権利保護において、仲裁を申請することができると言われているが、一旦この手を打つとほぼ仕事を確保することができなくなり、「1日10元の高温手当のため仕事を犠牲にすることはできない」と杜氏が仕方なく語り、労働仲裁はおろか、この話題さえ上司の前で持ち出すことができず、上司に「要求が多すぎる」との印象を残さないようにするためである。

専門家:法律根拠がなく、権利保護が困難
 中智上海公司の法務部のマネージャーである翁氏は、権利保護が困難である原因として、上海市で高温手当支給は「当市企業の高温季節手当支給基準に関する通知」のみ依拠できることが挙げられる。しかし、高温作業に係る労働者保護について、現在のところ国の法律がなく、労働法の中でも高温手当の支給基準について明確にしておらず、会社は高温手当を支給しない場合、法律上でも明確な懲罰措置がなく、多くの場合、高温手当支給はむしろ人間性を重んじたマネジメントの反映だと指摘した。 このため、翁氏は、早急に関連法律を制定し、強力な実効性がある規定を打ち出すことにより、労働者の利益を保護すると呼びかけた。