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上海”青田買い”…優等生争奪に走る企業

2010年10月15日

 「天天新報」によると、上海市の各大学で2011年卒業見込みの学生向け会社説明会が行われている。企業による優等生争奪戦は年々激烈になり、7月初めから昨 日まで、既に10数社の企業による2011年キャンパスリクルートが正式にスタートし、履歴書の受付を開始したことが記者の取材でわかった。

企業は1年前倒しでキャンパスリクルートをスタートさせた

  最も大々的に2011年キャンパスリクルートをスタートさせたのは「華為」。新卒向け某掲示板において、「華為」による2011年キャンパスリクルートが正 式にスタートしたことが7月2日に知らされた。リクルートを盛り上げるための準備活動に至っては夏休みの前に既にスタートさせるという手回しのよさ。早く も今年の5月、6月に、「華為」が2011年キャンパスリクルートをスタートさせることに関する情報は既に多数の学生向け掲示板或いは求人サイトで公開された。

 「輝瑞製薬」、「ドイツ銀行」、「スイス銀行」、「Emerson」及 び「報喜鳥」を含む多くの著名企業は、その後を追い、相次いで2011年キャンパスリクルートをスタートさせたことを発表した。このうち多くの企業は、 キャンパスリクルートの第1段階にあたる「インターネット応募」を9月1日を以って終了することを明らかにした。これにより、例年では9月、10月から始 まる企業の優等生争奪戦が、今年では大幅に前倒しされたことがわかった。

 最近、当市東北サイトにある某大学電気通信学専攻の2010年新卒、高氏は少し憂鬱だ。「大学院受験のため、2010年キャンパスリクルートを見逃した が、結局進学試験に合格できず、現在は既に大学を卒業した。今年のキャンパスリクルートにいち早く参加したいが、企業からは、2011年卒業生の履歴書の み受付すると明確に言われてしまった」と明かした。2011年キャンパスリクルートは2010年内でスタートしたとはいえ、ある意味では2011年卒業生 を対象とし、現在キャンパスリクルートをスタートさせた企業の募集対象は基本的に1年後に卒業する予定の2011年卒業生に限られている。

学生は戸惑い、学校は10月開催との最低ラインをぎりぎりに守った

 浦東新区にある民営大学金融専攻の蘇氏は、 「今年はどうしてこんなに早く始まったの!何気なく掲示板を見てびっくりした。こんなに多くの企業がもう2011年卒業生向けリクルートを行っていることを知った。私は2011年に卒業し、もう仕事すべきだ」と話す。

 今年、早々とスタートしたキャンパスリクルートに対して戸惑う学生は、決して蘇氏一人にとどまらなかった。 「私の専攻は工業製品設計で、学校は2等大学にすぎない。他の学生は履歴書を出し始めたらしい。就職活動はピークを迎えたのか?自分はどのような仕事を探すべ きかわからなくなった」と一人のネット友達が某就職活動掲示板で感想を書き込んだところ、数十ページに渡る書き込みが殺到した。

 学生達の戸惑いに対して、学校側の対応はどうか。「夏休み中、何社もの企業がキャンパスリクルートの開催について私のところに相談にきた。現在、企業は有名 な大学でキャンパスリクルートの開催を競うだけでなく、開催時間においても張り合い、幾分、悪循環が生じているようだ。学生の就職は非常に大事なことだ が、学校教育に支障が出るようなことは望まない。

 企業によるキャンパスリクルートを大幅に前倒したことに対して、多くの学校は既に大学四年生の授業を前倒 ししている」と、当市西南サイトの1等大学の就職センターの責任者である銭先生は記者の取材に対して語る。学校は企業による9月のキャンパスリクルートを 行うことを断り、10月開催との最低ラインをぎりぎりに守った。「このほか、一部企業によるキャンパス説明会はリクルートより企業宣伝に重点を置いた。リ クルート活動を大々的に行ったが、最終的には何人しか採用しなかったことは、かえって学生達の気持ちをイライラさせた」と指摘した。

専門家:初仕事は心地よすぎたことは、いいとは限らない

 企業による優等生争奪現象に対して、「中智人力資源」の応利常務副総経理は、今年、企業がキャンパスリクルートを再び前倒した背景について、経済の更なる回復及び労働力需要の増加のほか、雇用リスク及びコストを低減させたいことが主な原因として挙げられると指摘する。応氏は、「労働法」の関連規定に基づ いて、大学生は正式に卒業した後にインターンとして雇用することができず、正式な社員と同等な待遇を与えるべきであり、見習い期間も3年間の労働契約を締 結することを前提とする。一方、前倒しで新卒を採用することにより、何百元の手当てを支給することでインターンとして雇用できる一方、企業側にとっても正式な社員として合格かどうかに対して十分な考察時間があると指摘した。

 大学四年生に入る前に就職活動の波に巻き込まれた大学生に対して、長年の人事コンサルティング経験を持つ応利氏(前出)は、「自分を把握し、自己分析及び 適切な評価を行うことは非常に重要だ」と話す。同氏によると、企業は自身の利益から1年前倒しで大学生を採用し、その上前倒しでリクルートを行う多くの企 業は世界トップ500入りの有名な大手企業であるため、実に大きな誘惑である。しかし、学生達は、人の生涯労働時間は40年もあり、これは一つの長距離競走であり、スタートラインで競う短距離競走ではないと認識しなければならないとの考えを示した。

 「就職活動のスタートを切る前に、引き続き進学するかどうかをよく考えなければならない。現在、大学卒業はごく普通であり、経済的に許され、かつ自分も引 き続き勉強する気がある場合、大学院に進学してもよい。安心して学校で勉強できることは大切にしなければならない」とし、同氏は、「就職することを決めた としても、必ずしも有名企業による優等生争奪戦に自分も入れるとは限らない」と強調した。同氏によると、初仕事が心地よすぎることは、自分のキャリアに とって必ずしも良いとは限らない。「快適な仕事環境及び手厚い待遇に恵まれた初仕事は必ずしも一番良いとは限らない。多くの場合、あなたを鍛え、成長させ ることができ、たとえ挫折を味わったとしても、それこそが最高の初仕事だ」と語った。