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深セン経済特区団体交渉条例

2010年10月20日

 労働者の合法的な権益を保護し、安定的な労使関係を構築・促進するため、2010年8月13日に深セン市政府は「深セン経済特区団体交渉条例(修正案意見徴収稿)」を発表した。

 賃金団体交渉が中心内容とし、団体交渉の原則や内容、手続き、集団契約の規定などが盛り込まれた。深セン市は2008年に労使関係の改善を促進するため、「深セン経済特区和諧労働関係促進条例」を公布したが、今回は団体交渉だけに的を絞った。条例の実施により労使関係の安定化、労働争議の未然防止を図ろうとした。

 団体交渉は①労働報酬、②労働安全・衛生、③就業時間、就業基準及び休息・休暇、④職業訓練、⑤労働者利益に直接関係する規定の制定、改善或いは決定、⑥労働争議の予防及び処理、⑦その他労働者利益に係る重大な事項との内容が含まれる。 賃金団体交渉の主な内容は以下の通りである。

○ 賃金団体交渉は①通常就業時間の賃金基準、②年間給与調整幅、③ボーナスや手当などの配分方法、④賃金支払方法、⑤賃金と直接関連するその他事項との内容が含まれる。

○ 雇用組織は賃金調整事項について、年1回以上労働者と団体交渉する。

○ 雇用組織において20%以上の労働者が労働組合(中国語原文:工会)に対して賃金団体交渉を行うよう要求した場合、労働組合は雇用組織に対して賃金団体交渉を求めなければならない。

○ 雇用組織で労働組合を作っておらず、雇用組織において20%以上の労働者は所在地の地区労働組合組織に対して賃金団体交渉を行うよう要求した場合、所在地の地区労働組合組織は雇用組織に対して賃金団体交渉を求めなければならない。

○ 雇用組織で50%以上の労働者の賃金は同市内の従業員平均賃金の半分以下、かつ雇用組織による賃金団体交渉を行わず、又は交渉が合意に至らない場合、上級の労働組合は直接雇用組織に賃金団体交渉を求め、代表団を派遣することができる。合意に達した場合、上級の労働組合と雇用組織と賃金集団契約を締結する。

○ 賃金団体交渉の過程において、雇用組織は市政府が公表した最低賃金基準を通常就業時間賃金基準と主張した場合、見せ掛けの交渉と見なす。 また、同条例には罰則規定も設けた。

○ 正当な理由がなく、団体交渉を断り、又は相手方が提出した団体交渉の要求に応じない場合、労働関係部門が期限内での改善を命令するほか、警告を与える。期限を過ぎても改善されない場合、1万元以上5万元以下の罰金が科される。

○ 正当な理由がなく、団体交渉メンバーを職場異動させた場合、元の職場に復帰させなければならない。損害を与えた場合、賠償責任を負わなければならない。団体交渉メンバーは責務を履行することにより、雇用組織にその賃金が減額支給され、福利厚生が低減させられた場合、労働関係部門が雇用組織に賃金の全額支給及び福利厚生待遇の回復を命令するほか、減額された賃金の50%を賠償金として支払う。

 このほか、雇用組織は本条例の規定に違反し団体交渉メンバーとの労働契約を違法解除した場合、元の労働契約は継続して履行されなければならない。労働者が労働契約の解除を要求した場合、雇用組織は「中華人民共和国労働契約法」第四十七条で定められた経済補償金の2倍を支払わなければならない。

  同条例は8月31日までにパブリックな意見を聴衆し、更なる修正を行ってから深セン市人民代表大会常務委員会会議に提出する予定である。