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アウトソーシング」は事業単位における核心的競争力を打ち立てる有効な道筋である。(2013年3月15日)

 「全人大の労働法改正における決定」施行日が近づくのを受けて、多くの企業が「労務派遣」を「委託契約」 にシフトしようとしています。それでは、委託契約とは何でしょうか?委託契約にはどのような戦略的意義があるでしょうか?本稿では、それを分析検討してみようと思います。

一、「アウトソーシング」の定義

 「アウトソーシング」は即ち「外部委託」という意味です。委託者が外部の優秀で専門的な資源を利用し、コスト削減や効率化、競争力や急速に変化する環境への適応力の発揮に役立てる管理モデルの一つです。

 業務委託」とは委託者が自身で生産、完成すべき業務を、民事契約により他の事業単位に委託する商業モデルの一つです。

 一部請負」とは委託者が業務を委託した後、請負先に委託者が場所を指定し、委託者の工場、設備、工具、人手などの資源 を利用して業務を完成させる、特殊なアウトソーシング形態です。

 「一部請負」は中国語で俗に「外包内做」と言います。

 業務請負」は委託者と請負先で委託内容、完成期日、その品質、価格の計算方法や違約責任などについて契約を結び、その目的物(商品やサービス)が完成するまでの間、請負先が責任をもってその人員を管理するやり方です。中国語で俗に「商務用工」「外包用工」と言います。

二、アウトソーシングの種類

 委託者の主力商品、商品の核となる部品、生産過程における核心業務は、委託者の業務の中で最も強い影響力を持つ戦略的地位を持つと言ってよいでしょう。これらを除く商品、部品、業務、生産性の低い作業は「アウトソーシング」をもって替えることができます。アウトソーシングには大まかに分けて3つの種類があります。

 第1 生産のアウトソーシング

 高い技術を要しない加工生産について行うアウトソーシングで、請負先との「加工請負契約」により、委託元の従業員、労務工に代わらせます。

 第2,サービスのアウトソーシング

 生産補助サービス性(運輸、梱包、輸出など)をアウトソーシングするもので、請負先との「専門的サービス請負契約」により委託元の従業員、労務工に代わらせます。

 第3,家事のアウトソーシング

 生産補助サービス性(運輸、梱包、輸出など)をアウトソーシングするもので、請負先との「専門的サービス請負契約」により委託元の従業員、労務工に代わらせます。

 生産性の低い家事(清掃、警備、記録管理、物品、食堂など)をアウトソーシングするもので、請負先と「サービス請負契約」を結び、委託元の従業員、労務工に代わらせます。

三、アウトソーシングにおける戦略的認識と考え方

 「アウトソーシング」の管理モデルは工業経済時代既に形成された分業と共同作業組織が近代の情報化社会において発展、進化したもので、委託者の競争力を上げる新たな道筋なのです。

 1,「アウトソーシング」は社会の公認を得た先進的生産経営モデルである 現代アメリカにおける管理学の大家Pドラッカーは、1989年の時点で既にこのように指摘している。「10年から15年以内に、企業内内の補助的な利益を生み出さない如何なる業務も企業の外部に出て行くだろう」。 またアメリカのジェームス・クィーンは、「かつて外部委託は企業の経営不振を意味していたが、現在それは優れた企業経営のカギとなるかも知れない」と指摘しています。ゆえに、「アウトソーシング」は既に、核心競争力の確立において有効な道筋となっている、と言えます。

 2、「アウトソーシング」は上海の生産的サービス発展の戦略目標に符合している

 上海市政府発展研究センターの公表した「上海生産的サービス業の発展と製造業におけるアウトソーシングに関する研究」では、このように報告されています。 「生産的サービス業の大きな発展は、上海市が「十一五」綱要を誠実に守り、「4つの中心」建立の切実な要求を推進することにかかっている。それは生産的サービス業、製造業のアウトソーシングと密接な関わりがある。旧態依然とした体制の影響により、多くの国有企業で全ての業務を自力でまかなう傾向があり、生産性の高いサービス業の発展の受けた制約は深刻なものとなっている。ゆえに上海製造業におけるアウトソーシングの促進は、生産的サービス業発展のカギの一つを握っているのである」。

 3、価格連結分析法はアウトソーシング発展の「促進剤」である

 企業の生産経営は全て経済的価値を創造する業務であり、全ての企業の経営、業務は違えど、それは価値を創造する過程であり、価値の鎖であると言えます。また企業の戦略的優勢を保持するためにカギとなるのは主業務のコントロールであり、生産性の低い業務は外部の力を借りる「業務アウトソーシング」を採用することは、企業の発展力の一助となります。

 4、「アウトソーシング」は従業員数をコントロールし、業務の最適化させ、従業員の使用方法を変えリスクを避ける重要な措置である

 「労働契約法」改正決定など改正法規の全面実施に伴い、企業の巨大な従業員管理体制は人事リスクとコントロールに対し無力なものとなりました。この状況を変える必要性は十分にあり、非常に緊迫した状況にあると言えます。「業務請負」をもって「労働派遣」に替えることは「雇用と使用の分離」を「雇用と使用の一体化」に進化させるのです。 まとめると、「業務請負」は現代企業の創出するあらゆる経済的価値に合わせて、生産性の高いビジネスモデル導入を推進する先進的な理念なのです。

四、業務委託の重要な意義

 労務派遣」から「業務請負」へのシフトには、以下4点の重要な意義があります。

 1.労働者使用のリスクを避け、労働関係のバランスを取り戻す。

 労働者使用におけるリスクは3つの方面からやって来ます。一つは「三性」の問題から来る法的リスクです。「労働契約法」の改正により労働者派遣の「臨時性、補助性、代替性」が明確に謳われることとなりました。現在労働者派遣が行われている職位の大部分はこれに該当しません。二つ目に、派遣労働者の賃金福利は一人あたまで計算されるので、人事コストの調整が難しくなります。もし現在の市場環境において「同一労働、同一賃金の原則」が全面的に実施され、人事コストという荒波が襲い掛かってくれば、企業がこれを乗り切る事は出来ないでしょう。もし弾力的なアウトソーシングを以て調整のし辛い賃金支払方式に替えることができれば、企業にとって有利に働くことは明確です。三つ目に、労働者派遣の雇用と使用の分離は、穏かでない集団的事件のリスクを使用者が負担することにつながります。

 2.生産性の低い職位を削減し、競争力を高める

 現代企業は往々にして製造に重きを置いており、「カンラン型」の従業員構造を呈しています。業務請負によって生産性の低い職位を整理し全てを請負とすれば、企業は技術、販売、サービスに重点を置いた「ダンベル型」の従業員構造を維持したまま、一連の企業価値強化戦略をコントロールし、企業の適応力や総合力を強め、競争力を高めることになります。企業一人当たりの生産量、販売量、利益などを大幅に上昇させることができます。

 3.核心職位の新設に利があり、企業の管理レベルを上げる業務請負を通じて、企業の生産性の低い業務を引き剥がし、従業員の管理コストとリスクを減らすことにより、限られた資源を技術、販売、サービスなどの業務の核心に注ぎ込むことができるようになります。同時に、業務量を企業の決算とすることにより、請負先に自発的な生産と品質の効率アップを促し、「管理の向上とコストの低下」を達成することができます。

 4.人手不足をある程度緩和できる 業務請負の請負先は往々にして専門的なヒューマンリソース会社であり、人的資源の登用、訓練、配置において独自性と優位性を持ちます。総合的実力があり管理レベルの高い請負先と手を組むことで、人手不足をある程度解消すると共に、企業の人事機関を改良することができるでしょう。また、優秀な技術を持つ請負先の従業員を自社の幹部従業員として迎え入れることも可能かも知れません。請負先は「人材庫」の役割も果たすのです。それは委託者従業員のやる気をも呼び覚まし、結果的にWin-Winの関係が構築される事でしょう。

 業務委託が企業経営にとって重要なモデルであり、社会の中でより重要視されるものとなっていくという事は、断言しても良いでしょう。