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時間外手当を支払わなければならない状況とは

時間外手当を支払わなければならない状況とは(2013年4月12日):

 はじめに:

 職場ではよく時間外労働の話題を耳にするが、時間外労働の認定は司法実務において争点の多いところである。時間外労働は一般的に、終業時間外に継続して行う業務を指す。しかし、8時間の業務時間以外の全ての業務を時間外労働とすべきか? 実務においては、時間外労働の認定について多くの争点があるが、時間外労働を巡る労働争議の例をいくつか挙げた上で、その分析を進めていく。

  案例1:出張中の連休は時間外労働に該当するか?

 事案:

 黄さんは企業内技術者である。2010 年4 月、黄さんは貴陽へ半月間出張したがその期間中ちょうど2回の連休があった。

 黄さんの従業員訓練記録には、黄さんがかつて機密保持・従業員の人事制度に関する訓練を受けた、と記載されている。会社の制度は2009年12月9日、劉氏が法的手続に則って制定したものであり、その規定には、業務の為時間外労働が必要な場合、時間外労働申請を提出し経理の許可を得れば、申請書に署名した者について時間外労働を認める」というもので、週6日の実際の業務時間(移動時間含まず)を元に時間外労働時間を算定することになっている。

 では今回のケースにおいて、出張中の2回の連休を時間外労働とみなす事が出来るであろうか?

 分析:

 顧客との連絡及びその他業務のための出張は、出張者がその時間を自由に裁量でき、また食事や休憩など実際の状況を鑑みると、ごく短期の変形労働時間制であると言える。このケースでは出張中に連休が重なっているが、これが時間外労働に該当するか否かは、次に挙げるように、状況によって変わってくる。

 まず、もし労働者が連休中に労働したことを証明したときは、時間外労働があるとし時間外手当もしくは代休を与えなければならない。第一ヘy情形,「労働法」第44条には、休日に労働者に労働させ代休を与えられないときは、賃金の100分の200の金員を支払わなければならない、とある。

 もし連休中に労働していないときは、出張中の休息と家での休息にどんな違いがあれ、使用者に対し何の利益ももたらしていないので、時間外労働とはならず時間外手当も発生しない。

 案例2:従業員の自主的な残業は、残業となるか?

 事案:

 黄さんは某社の社員である。新卒生として、入職以来勤勉に業務をこなし、毎日30分前に出勤し、就業時間30分後まで仕事していた。このように従業員が自主的に残業をしているとき、会社はこれを黄さんの自主的な貢献であると見做すべきであろうか?

 分析:

 法律の規定では、使用者が時間外手当を支払う前提は「使用者が終業時間外に労働者に労働させる必要があるとき」であるが、全ての延長された労働時間が時間外となるわけではない。労働時間の延長が労働者主導によるものであっても、それは自主的なものか残業を命じられたかの2つに分かれる。使用者が労働者に命じた場合は、時間外労働に該当する。但し労働者の労働が使用者の要求や決定、許可を得ていない場合は、時間外労働に該当しない。本案件の黄さんは、後者に当たる。

 案例3:週末職業訓練に参加した場合、この時間は残業となるか?

 事案:

 楊某は国有企業の技術者である。今年2 月10 日より、会社の命令で2ヶ月の職業技能訓練を受けることになった。会社はこの従業員と協議しないままに、毎週末に訓練スケジュールを入れ、もし欠席した場合は無断欠勤と見做すことにしていた。事実上、訓練終了後すぐに普段の仕事に入らなければならなくなった。これについて従業員から多くの意見が寄せられたものの、訓練が自身の為になるということで、大部分がこれに同意した。 では、週末に職業訓練に参加している時間は時間外労働と見做すべきだろうか?

 分析:

 もし就業時間内に訓練に参加したときは、一般的な出勤と見做すべきである。もしこれが週末であったときは、一概に時間外労働とはいえないが、判断のカギはこれが会社の利益になり労働を提供するか否かである。これを元に分析していく。

 まず、訓練が自主的性質を持っているときは、労働者自身の技能を高めかつ金銭的負担が無いので、この訓練は受けることも放棄することもできる労働者の福利であると言える。このような訓練を受ける時間は就業時間に該当せず、ゆえに時間外手当を支払う必要は無い。

 次に、もしこの訓練が強制参加であるときは、それが労働者の技能を高めるものであろうとなかろうと、使用者が労働者の技能を高める目的が副リ的性質を持っておらず、かつ労働者の技能が向上することにより企業の経済効果を上げることが目的であるので、この場合は業務上必要な訓練となり、時間外手当を支払う必要があると見做される。