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企業の呉さんに対する労災判定は妥当か

企業の呉さんに対する労災判定は妥当か(2013/5/15):

案例:

 呉さんは給料を全て出来高制でもらっている。呉さんには基本賃金が無く、出勤と退勤時に一回ずつタイムカードを押すこととなっていた。勤務時間は、残業なしの時は7時30分から17時30分、残業のあるときは7時30分から21時30分であった。

 ある日、お昼休憩のチャイムが鳴り終わったあと、職場を離れ資料を取りに行った際、呉さんは積まれてあったB品につまずいて転倒し怪我を負ってしまった。しかし企業側は、休憩時間は労働時間ではなく、また呉さんの行為は業務と無関係であり、労災に当たらないと主張した。

分析:

 この呉さんのケースは労災に該当する。休憩時間を知らせるチャイムが鳴ろうと終業時間が来ようと、呉さんは資料を取りに行くと言う業務に関連した行為を行っており、その一連の行為中怪我を負っている。ゆえに、業務との因果関係が認められる。「条例」第14 条第二項規定にには、「就業時間中に就業場所で、業務に従事もしくは準備または整理中の事故により受けた傷害」を労災と規定しているので、企業側の「就業時間を過ぎた後の、当事者自身のための行為であるため業務ではない」という主張は成立しないのである。企業がこのように主張するのは、恐らく自身が従業員へ労災保険をかけていない責任を取りたくないという目論見からである。この時、企業人事部は厳しい選択を迫られる。企業の意思に反するわけには行かず、また労災を受けた従業員を屈服させられるわけでもなく、当然に事態を収拾できなくなる。

 人事が為しうる方法として、我々は2つの有力なやり方があると見ている。一つは企業へ労災か否かの判断が出来る人材、例えば弁護士などを招聘し、その判断に基づいて従業員の労災認定や治療などを適切な方法で行う、というものである。もう一つは従業員自らに労災の申請をしてもらい、その認定結果に基づいて補償の内容を決定するというものである。そうすれば、人事としての職務を全うできるだけでなく、権威ある第三者の意見に基づき処理できるので従業員も企業もよりスムーズに対応でき、また全員を納得させやすくなるのである。