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【判例】賃金歩合制に関する紛争の分析(第一回)(2013年6月14日)

はじめに:

 現在、「歩合制」は報酬支払方法の一種としてあらゆる業界で広く適用されている。「歩合制」自身の柔軟性と不確定性は多くの使用者と労働者に利益をもたらしている。しかし、「歩合制」は労使関係にある双方から見て「諸刃の剣」であり、時として紛争の火種になるものである。

 統計によれば、法院で受理された労働争議中、歩合制による紛争の比率は絶え間なく上昇している。歩合制に関する労働争議の審議において、労働者は常に弱者であり、使用者への歩合制賃金支払い請求訴訟の多くは法院の支持を得られていない。よって、労働者が労働契約を締結、履行する上では「歩合制」による被害が及ばないよう、注意を払わなければならない。

事例1:約束した報酬を支払わずーー「歩合制」は「賃金」か?

 馬さんは飲食会社で搓澡工を担当しており、賃金は歩合で計算されていた。馬さんは後に法院へ告訴し、飲食会社が理由もなく自身を解雇し、賃金を支払わないとして、4312 元の賃金の支払いを求めた。

 仕事量に対する歩合賃金を証明するために、馬さんは洗濯票法院313 枚と技^流水歩合表を提出した。

 法院は、馬さんと飲食会社で交わした歩合制を賃金と認めた。双方の権利義務が明確になったため、飲食会社へ歩合制による算定に則った賃金を馬さんに支払えとの判決が下った。

解説:

 この案件で、労働者側は使用者の賃金規定欠落を根拠として直接法院へ提訴しているが、それはこの訴訟において労働関係に関する点が争点になっておらず、あくまで未払い賃金支払請求訴訟であり、普通の民事訴訟であるからである。ゆえに、馬さんは労働仲裁ではなく直接法院へ提訴したのである。馬さんと飲食会社との賃金規定を見ると、歩合制報酬が基本賃金であることが確認できる。国家統計局の「賃金総額構成に関する規定」第4条を参照すると、歩合制はその性質上賃金に属すると言える。

 同規定では、賃金総額は時間給、。旧渚HD香Aボーナス、各種手当、時間外手当及びインセンティブ、特殊状況下での危険手当の6つの要素で構成されている。当該規定には「歩合制」の文字は見当たらないが、「歩合制」の性質からどんな具体的名称であろうとも一定のあいまいさと不確実性が存在する。

 実際に労働者と使用者で労働契約を結ぶ際は、やや低めの基本賃金にプラスして運搬歩合、業務歩合、販売歩合など一定比率の歩合給が設定されるのが一般的である。最低賃金が設定されていない労働関係は確かに存在するものの、歩合制が当地の最低賃金を下回ることは許されない。労働者と使用者の歩合制に関する社会的通念などを総合的に考慮すると、歩合制の性質は具体的状況から確定すべきものであると言える。