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【寄稿】日系企業の用人姿勢に学ぶ(1)(2013年11月22日)

【寄稿】日系企業の用人姿勢に学ぶ(1)(2013年11月22日)

 外資系企業の管理コンサルティングに数多く関わると、必ず全く違った方面からの2つの声が耳に入ってくる。経営者からはいかに利益を最大化させるか、会社を大きくし上場するか等を話し、従業員からは経営者があまりに資本主義的で無茶ばかり言う等と怨嗟の声をよく耳にする。

 しかし日系企業において、そのような声を聞くことはあまりない。日系企業がもっとも労力を裂き、優先的に調査している課題の一つは「消費者は何を求めているか?」という点である。企業は長期的経営過程において常にこの課題を反復調査する。ゆえに彼らは一つの共通認識――消費者の期待する2か条を有しているのである。

 第一に、企業は安心感と信頼を得なければならないという点である。信頼の根源にあるものは企業が厳格に「承諾」というサービスを提供することにある。人の安心は企業の信頼につながり、消費者の大きな要求は合理的なものなのである。

 第二に、企業は高効率で緻密なサービスを提供しなければならないという点である。「消費者の立場に立って」考え、仕事をすることで、緻密なサービスを提供できるのである。この「消費者中心の柔軟な対応」こそが、高効率なサービスの肝なのである。これらの業務は人あってのものである。本質的に企業が勝つも負けるも人次第なのである。日系企業の管理において重視されるのは業務に対する情熱を呼び覚まし、業務への高度な責任感を持たせ、企業のために尽力させることである。

 では、彼らは一体どのような方法を採っているのだろうか?

1、従業員を信じる

 「士は己を知るものの為に死す」という言葉がある。 従業員の仕事への情熱は何によって呼び覚まされているのか?最大の秘訣は「信用されている」事である。ここで言う「信用されている」「重用されている」とは決して管理者層のことを指すのではなく、日系企業の基本観念が「人を信用する」事であり、其々の従業員が「人」として信用され、尊重されているのである。全員の業務能力に関心を寄せることが、各従業員に活力を与え、力を発揮させるのである。これこそが、日系企業の用人の特徴なのである。

 日本人は常に、「事業の成否は雇用主の態度による。すなわち従業員の能力を信じるか、彼らを否定するかである」と言う。日系企業が成功し、日本が優秀な製品を生産できるのは、彼らが従業員を優秀であると考えており、このような価値観が管理者に共有されることにより、企業へより強力な原動力を与えているからなのである。

 「主管用人」の態度は、企業より来る任用態度である。もし社長が「従業員は自分の稼ぎのことばかり考えている。私と同じではあり得ない、彼らから自身を守らねば」と考えているとすれば?もし従業員が「社長はいつも自分を貶めようとしている、私はどうすれば社長の期待に応えられるだろうか、どうすれば自身の利益を侵害されないだろうか?」と考えているとすれば?双方が互いに疑念を持ち、積年の恨みを胸に秘めた状態で、どうして心地よく仕事に取り組めるだろうか?

 仮に従業員が顧客のように振舞っても、常に心穏かに、より客観的に彼らを大切にしなければならない。顧客が往々にして無茶な要求を出す権利を有するように、企業は感謝の念をもって従業員に接するべきなのである。当然、社長とすれば会社をいつも評価する従業員のことを快く思わないかも知れないが、意見し続ける従業員はむしろ歓迎すべきである。しかし、従業員の使用に当たっては過酷な要求をすべきではなく、特に「自分がいなくても替わりはいくらでもいる」という心理状態にしてはならない。

 では、従業員に全てを任せて「仕事さえすればよい」とするか、主管を通して企業の従業員に対する関心を伝え成長の手助けをすべきか?これは企業の長期的競争力によって効果が変わってくる。信任の背後に、従業員は皆「尊重されている」という感情を持つ。この基礎の上に高度な責任感、使命感が生まれ、全力で業務を全うするのである。

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