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【判例】“超生”女性従業員は三期待遇を受けられるか?(2013年12月25日)

【判例】“超生”女性従業員は三期待遇を受けられるか?(2013年12月25日)

案例:

 祝さんは2009 年1 月上海の某アパレル会社に入社した。入職時、彼女は従業員登記簿の婚姻欄に「既婚」と記載しており、また一女を設けていた。

 2009 年6 月,祝さんは会社側へ自身が再び妊娠したことを告げた。会社側は彼女に話を聞いた後、今回の妊娠が計画出産に反すると分かったが、祝さんは口頭で自身で生むか否か決定すると述べ、結局生む事を決意した。祝さんの初期妊娠反応は大きく、会社側祝さんをはより経度な労働へ配置転換した。

 2010 年1 月、祝さんは妊娠7ヶ月となったことから会社側へ産休を申請した。会社人事部は祝さんの申請を受けた後、一般女性従業員と同じ産休待遇を受けられない旨書面で通知した。その後祝さんは会社へ病気休暇を申請し、二級以上の病院による診断証明書を人事部まで送付した。会社側は祝さんの病気休暇届を受け取った後、病気休暇待遇の賃金を支払った。

 2010 年4 月、祝さんは一子を出産し、会社側へ育児休暇を申請したが、会社側は再びこれが計画出産に反するという理由でこれを受け付けなかった。そこで、祝さんは会社へ病気休暇届を提出した。2010 年7 月10 日、会社側は通知を受け取った後祝さんへ出勤するよう求めたが、祝さんはこれに応じず病気休暇を再び提出した。会社側はこれをサボタージュと見做し、2010 年7 月30 日、祝さんを解雇する旨書面にて通知した。祝さんは会社側のこのような処理を不服として、労働仲裁委員会に仲裁を申し立て、労働関係の確認と産休時の賃金待遇を補うよう求めた。

争点:

 本案件の争点は、女性従業員が計画出産に反したとき労働芳情の保護を受けられるか、という点である。

 祝さん側は、国家は妊娠した女性従業員へ産前80%、出産期100%の賃金支払いを定めた特殊な労働者保護規定があるにも関わらず、会社側はこれを支払わず病気休暇待遇に基づき賃金を支払った。また「労働契約法」には産休三期は解雇することができず、授乳期の産休を認めないばかりか理由も無く解雇するのは違法であり、労働関係の確認を求める、と主張している。

 会社側は、関係法律規定に基づき、計画出産に反し出産した女性従業員は産前産後の産休を受けられない。祝さんが妊娠により強度の強い業務に耐えられないと考え、会社側は軽度な業務へ配置転換を行なっており、休業期間は病気休暇に基づく賃金を支払っている。また2010 年7月、祝さんが出産後3 ヶ月間会社側の催促にも関わらず出勤に応じず、育児休暇が認められないと病気休暇と称して出勤しなかった。これはサボタージュに該当し、重大な規律違反に該当し、その解雇に妥協の余地は無いとした。

仲裁結果:

 労働争議仲裁委員会は審査後、関連規定に基づき、国家及び本市の計画出産関連規定に反する女性労働者について、その産前、出産、産後の休暇を関連法規に基づき処置すべきとした。故に、労働者が病気休暇を出した時相応の労働報酬を支払ったことに問題は無い。但し、身重の女性労働者が産前、出産、産後であるとき、使用者はこれを理由として病気休暇とすることはできず、出勤しなかった事をサボタージュだと認定することはできない。ゆえに使用者の解雇は支持しない、とした。本案件は労働争議仲裁委員会の調停により、会社側が祝さんとの労働関係回復を認め、祝さんは一週間後職場に復帰した。

分析:

 女性従業員が計画出産に反した場合、違反していないときと同様の保護を受けることが出来るのか?本案件において、我々は二つの方向から分析を行いたい。

 (1)産前、出産、産後において育児休暇を得られるか

 「上海市女性従業員労働保護方法」第25 条では、「国家及び本市の計画出産関連規定に反した女性従業員の産前、出産、産後における育児休暇については、関連規定と同様に処理する」とある。「上海市人口及び計画出産条例」第43 条には、本条例の規定に反し出産された子女の公民は、社会養育費の徴収を除き、分娩における入院費及び医薬品費を自費とし、生育保険待遇及び育児休暇規定の賃金待遇を受けられないものとする」とある。このことから、国家及び本市の計画出産関連規定に反した女性従業員は国家の規定する産前、出産、産後の育児休暇待遇を受けられないことあわかる。

 本案件において、祝さんは計画出産に反して妊娠しており産前、出産、産後において育児休暇待遇を受けられないものの、休暇申請の義務は履行しており、二級以上の病院より出された診断書を会社側へ提出しているので、会社側は関連規定に基づく労働報酬を受け取ることが出来、法律規定にも符合する。

 (2)解雇規制の対象となるか

 労働契約法」第 42 条には、「労働者が以下の状況に該当するときは、使用者は本法第四十条、第四十一条の規定に基づき解雇することができない……(四)女性従業員が産前、出産、産後の状況であるとき……」とある。つまり、計画出産に該当しようとしまいと、 女性従業員が産前、出産、産後であるときは、同法第四十条、第四十一条規定に基づき解雇することが出来ないということである。

 「本案県において、労働者は育児休暇待遇を受けることはできないものの、育児休暇期間中に休暇取得手続を踏み、病気休暇を会社に申請しているので、この行為により継続して病気休暇を取っているとみなす事が出来る。ゆえに会社側はこれをサボタージュとして解雇することはできないのである。