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【寄稿】業務アウトソーシングと労働者使用の多様化(2014年1月24日)

【寄稿】業務アウトソーシングと労働者使用の多様化(2014年1月24日)

Ⅰ.業務アウトソーシングの定義

 「業務アウトソーシング(ビジネスアウトソーシング)は更に「生産性アウトソーシング」と「サービス性アウトソーシング」の2つに分類することができます。

Ⅱ.業務アウトソーシングの類型

 1.生産性アウトソーシング

 企業の主力商品、主力商品の核心部品、生産過程中の核心業務以外を全てアウトソーシングし、「業務アウトソーシング”(ビジネスアウトソーシング)」を用いること労働者の使用方法を改善するやり方です。この「業務アウトソーシング」は更に3つに分類できます。

 (1)生産加工型アウトソーシング。技術的水準の低い加工生産(金属加工、鍛工、コールドワーク、溶接)等をアウトソーシングし、請負者との間で「加工請負契約」を結びます

 (2)生産サービス型アウトソーシング。生産を補助するサービス業務(運輸、包装、塗装、研磨等)をアウトソーシングします。請負者との間で「専業性生産サービス請負契約」を結びます。

 (3)生活サービス型アウトソーシング。相対的価値の低い生活サービス(清掃、保安、物品管理等)をアウトソーシングします。請負者と「生活サービス型請負契約」を結びます。これら3つのアウトソーシングは依頼者が直接労働者を使用するモデルからアウトソーシングサービスへと変化したものです。

 2.サービス性アウトソーシング

 このアウトソーシングも3つに分類されます。即ち情報技術アウトソーシング(ITO)、業務工程アウトソーシング(BPO)、知識過程アウトソーシング(KPO)です。これら3つのアウトソーシングは高度な知識や技術を持つ人材を必要としているが雇うだけの資本が無く、そのサービスを日常的に必用としない場合に用いられます。ゆえに業務アウトソーシングは、往々にして労働者の使用方法を多元化させるのです。

 (1)情報技術アウトソーシング(ITO)は、現在我が国のアウトソーシングサービスの中心となっており、一般的に、アウトソーシングサービス量の60%以上を占めていると言われています。彼らの典型的なサービスは、プログラム開発や測量業務等のサービスを提供するものと、ソリューションの提供などの高価値サービスへと昇華させるものの2つが存在します。

 ①. クラウドソーシングサービス。クラウドソーシングはアウトソーシングサービス企業と顧客とが共に価値を創造し、これにより共生関係を築き効率を上げるのです。「クラウドソーシング」はまた「クラウドクリエイション」をもたらします。「クラウドソーシング」の概念を基に、企業を個人や他企業など外部機関と提携させ新たなビジネスサービスを創造すれば、共に成長し高い価値を獲得することができるのです。

 ②.電子ビジネスアウトソーシング。電子ビジネスは絶え間なく発展し、そのニーズも拡大しています。サービス領域はすでにコンサルティング、技術企画、商品編成、管理、運営、物流、支付、プラットフォーム建設など多岐に渡っています。専門家の予測では、「十二五」期間でその企業数は45%もの速さで増加し、企業の規模も拡大していくとされています。労働者使用の多様化も現れ始めています。

 (2)業務流程アウトソーシング(BPO)。

 このアウトソーシング業務は急速に発展しており、2011年の統計では契約数21327件、取引金額は48.7億元に上っています。現在我が国のBPO業務は金融サービスのアウトソーシング、人的資源アウトソーシング、財務アウトソーシング、コールセンター等の領域をメインとしています。うちコールセンターは我が国BPO サービス業の中で最も成熟したアウトソーシングサービスであると言えます。この他、巨大な潜在的成長余地を有する医療アウトソーシングサービスも、新たな形態として近年出現しています。

 以下に主要サービスの業務発展状況を紹介します。

 ①.金融アウトソーシングサービス。

 我が国の金融アウトソーシングサービスはまだ発展初期の段階ですが、世界的に見ると、銀行機構、保険証券等の領域から金融商品、金融衍生品、資産管理等の業務を大きく発展させ、我が国の金融アウトソーシングサービス成長へ大きな空間を提供しなければなりません。

 金融アウトソーシングサービスは既に法律事務アウトソーシングや財務アウトソーシング、人的資源管理事務アウトソーシング等から、クレジットカード、キャッシング、 現金護送、貨幣分別、オンラインバンキング等の金融業務を巡る一連のアウトソーシング、引いては核心的会計システムや会計業務全般もアウトソーシングの範疇に入るようになっています。

 現在、我が国の金融アウトソーシングサービス業はまだ発達初期段階ですが、業者と金融機関が協力関係を積み重ね、更に上の段階へ進んだ時、全てのアウトソーシングサービスは大きく飛躍することでしょう。

 ②.コールセンター コールセンター産業は近年目覚しい発展を遂げており、サービス業のアウトソーシングにおいて最も成熟した領域となっています。現在、我が国のコールセンター業務は主に国内市場を主としており、激しい低価格競争を繰り広げています。外資系企業の参入に伴い、先進技術と熟練の管理技術が伝来し、我が国のコールセンター運営管理水準向上につながっています。

 2012年はクラウドコンピュータのコールセンターが急速に発展しました。熟練だけでなく業務範囲も大幅に広がり、業務モデルは既に成熟の域に達しています。新興通信技術の発展、例えば3G、4G技術、モバイル技術等の成熟と普及は、コールセンターのサービスを変化させました。かつての単一音声は複合音声へと姿を変え、Webページ視聴など多彩な連絡方法が出現しました。同クラウドコールセンターは地理的条件も有利に働き、人事コスト等の難題を解決するだけでなく、SIP技術(IPネットワーク上でさまざまな音声、データ、画像などのマルチメディアの通信を行うためにアプリケーション間の関連付けを実行したり、関連を終了したりするために利用するのに欠かせない通信手順)と在宅勤務の発展を促します。現在、一部コールセンターは二、三級都市へ進出し始めています。

 この他、新興産業の出現、特に電子ビジネスの発展がコールセンターに巨大な成長機会をもたらしています。販売前後の一連のサービスはもちろん、販売そのものや営業における一連の流れにおいて、コールセンターは電子ビジネスにとって必要不可欠なものとなっています。

 ③.人的資源アウトソーシング。人的資源アウトソーシングは近年猛烈な勢いで伸びており、専門家の統計では2010-2015年の複合成長率(CAGR)は19.7%にも上ると言われています。ここ数年、何社かの有名人的資源会社の柔軟的なサービス、包括的サービスネットワークとIT活用は、中国企業の需要傾向を的確に把握し、明晰な人的資源アウトソーシングソリューションを保証しています。工程とデータ処理を中心とした人事代理、派遣、コンサルティング、報酬管理、業績考課管理などの問題解決を行い、「人と人との成長発展」を人材開発管理ソリューション商品として、福利制度構築と管理を福利管理ソリューション商品として、国内外の企業へ人的資源アウトソーシングサービスを提供しています。現在人的資源アウトソーシングと「労務請負」は一部重複していますが、この点についてはしっかりとした線引きが待たれます。

 ④.物流とサプライチェーンの管理サービスアウトソーシング。物流企業の運営においては分離可能な大量の人的資源管理、財務、法務、顧客サービス、工程設計や改善、データ処理等の業務工程においてアウトソーシングのニーズがあります。物流関連産業の多くの業務や運営プロセスにおいて、大量のアウトソーシング需要が発生する可能性があります。

 物流サービスはサプライチェーン管理機能の一部であり、それはまた物流コンサルティングやシステム構築業であると言え、業務工程アウトソーシングに属します。現在我が国のサプライチェーン管理業は急速に発展していますが、それを専門に管理するサービスを提供するアウトソーシング企業はまだそれほど多くありません。ゆえに、物流とサプライチェーン管理サービスのアウトソーシングにおける人材や市場の育成は我々の急務であるといえます。

 (3).知的産業工程アウトソーシング(KPO).我が国のKPO業務発展はまだ初期の段階ですが、高素質人的資源の多さを元に、生物医薬品研究開発アウトソーシング、アニメーション研究開発アウトソーシング、工業設計アウトソーシングなどで突出した業績を上げています。国内多くのアウトソーシング企業が現在BPOからKBOへの発展を検討しており、伝統的大型BPO企業がKPOへと進化する動きが加速しています。国外のKPO企業は中国国内に次々と拠点を構えており、世界中のKPO業は今まさに業界再編、拡張と発展を迎えています。我が国で成長目覚しいKPOは以下3つの業種です。

 ①.医薬品研究開発アウトソーシング

 2011年末までで、我が国には計300件以上の医薬品研究開発アウトソーシング企業があり、全世界に対し5%のシェアを占めています。コストと人材の優位を元に、我が国は全世界医薬品研究開発の重要な移転先となっています。

 我が国はコストが安い専門家、ある領域における豊富な科学技術の基礎知識、研究費用の安さや日々高まる技術競争力などにより、多くの国際的製薬会社や医薬品研究開発期間が中国へ移転してきています。また、それに付随して優秀な医薬品研究開発アウトソーシング企業も次々登場しています。

 ②.アニメーション研究開発アウトソーシング

 近年来、中央及び地方政府の支援の下、我が国のアニメーションサービスにおけるアウトソーシングは急速に拡大しており、企業数も大幅に増え、アニメーション産業は不断の発展を遂げています。

 日本は世界一のアニメ大国として、国内人件費の絶え間ない上昇に伴い、セル画製作の90%を海外に発注しています。また、中国は作画の質が比較的高く、人材のコストも比較的安く、距離の近さや提携の歴史などもあって日本の主要なアウトソーシング先となっています。しかし我が国のアニメ関連産業は未だ低いレベルに留まっており、請負が主でクリエイティブさに欠けています。現在我が国のアニメ産業は政府の強い後押しと市場拡大の「相互作用」により追い風が吹いており、「アニメ大国」から「アニメ強国」へと徐々に変貌を遂げています。

 ③.工業設計アウトソーシング

 工業設計は我が国KPO産業第三の規模を占めます。改革開放以来20余年の製造業、建築業及びその他垂直行Nの急速な発展により、工業設計は社会の公認を得ただけでなく、自身が一目置かれる独立した巨大産業へと姿を変えました。

 我々は引き続き、設計環境全体の改善を行わなければなりません。設計文化の定着とイノベーション意識を強め、技術応用を強化し、同産業をより成長させなければならないのです。

Ⅲ.業務アウトソーシングと労働者使用の多様化

 上述の多様な新興産業は、多くの新迄的人材を必要とする一方、労働者使用の多様化が求められます。特に「クラウドソーシング」という概念の出現は誰が使用者で誰が労働者なのか、使用者は誰なのか、労働契約書に誰がサインするのかを曖昧なものにしています。ゆえに、我々は全く新しい考え方や方法、システムをもって新興産業の成長需要を満たさなければなりません。我々は労働者の使用理念、使用方法の固定概念を打破し、柔軟的に労働者使用モデルの多様化に対応し、新興産業の発展拡大を幇助、促進しなければなりません。