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【寄稿】医療器械業報酬の現状分析(2014年04月25日)

【寄稿】医療器械業報酬の現状分析(2014年04月25日)

 専門調査機構の調査結果によると、中国の医療器械業は今後大きく成長する傾向が見られるものの、 同時に人材不足に面することとなる。今回の調査では中国大陸の医療器械会社で働く従業員を対象に、企業の成長展望、従業員との関係、報酬 奨励、養成昇進の4つの角度から情報を収集し、1300人に対しオンライン調査を行い、928件の回答を得た。今回はその調査により得られた結果 から見られる問題点について述べる。

1.全体的な報酬水準は高い

 医療器械業の報酬は全体的に早い成長を見せており、一般的業種の報酬水準に比して30%も高く、特 定の職種、例えば某医療器械商品の営業に至っては50%以上も高いという結果が出ている。賃金については、各企業基本的に毎年一度賃金査定 があり、外資系企業の賃金査定は主に2-4月及び年末に、中国企業は基本的に年末に集中している。企業は基本的に自身の利益情况に応じて予 算を設定するが、全体から見ると、外資系企業と中国企業の賃金の伸びはそれほど大きくなく、医療設備関連の中国企業はむしろ同業外資系企業 のそれを上回る賃金の伸びを見せている。業界の平均賃金上昇率は12.0%であり、約30%前後の企業が18.0%に上る伸びを見せている。このことから、 医療器械業の人材吸引力は強く、成長の展望は明るいものであると言える。

2.従業員は外資系企業での仕事を夢見る

 中国医療器械企業の報酬水準は全体的に外資系企業と大差ないが、多くの従業員の心には、巨大なグローバル企業で働くことを目標としている。現在中国人従業員に人気があるグローバル企業は强生、罗氏、シーメンス、通用电气等で主に欧米系であり、東芝、日本光電、オリンパス、泰尔茂等日本企業の人気はそれほど高くない。

3.従業員個人のステップアップに注目している

 企業が従業員を引き寄せる要素を挙げるならば、従業員は報酬や奨励意外に、企業の成長展望、個人のステップアップ、企業の取扱商品、企業文化といった点に着目している。個人のステップアップにおいては昇進やスキル・キャリアアップのみならず、会社の所在地も重視されている。沿岸地域の医療器械会社に人気が集中しており、人材供給の地域格差を生み出す原因となっている。

4.報酬構成の同質化

 医療器械業の報酬構成は基本的に似通っている。一般的従業員の賃金は基本的に基本賃金、手当、ボーナスというモデルで構成されている。営業職の場合は基本賃金、手当、インセンティブ、ボーナスの4要素による構成が主となっている。うち、営業職のボーナスは販売商品によってまちまちだが、多いところで10ヶ月以上のボーナスを支払う会社もある。

 以上の様に、医療器械業の報酬調査結果を簡単に分析した。今後我々は中国におけるいくつかの業種についても、成長展望、人材の趨勢、報酬予測の分析を加えていくので、乞うご期待頂きたい。

 
        寄稿 --- 弊社専属中国人アナリスト 陳潔イ