【寄稿】全世界で医薬産業の硬直性需要上昇: 生物医薬業への投資熱再燃(2014年6月25日)
【寄稿】全世界で医薬産業の硬直性需要上昇: 生物医薬業への投資熱再燃(2014年6月25日)
弱周期の安定成長産業である医薬産業は、その成長性のみならず業績の面からも、近年屈指の優良産業となった。世界経済が未だ回復トレンドにある中で、人口の増加と高齢化社会が医薬産業の硬直性需要を支え、医療衛生事業の世界的な急成長も相まって医療や保健に対する心理的期待が高まっている。その中でも生物医薬産業はその高成長と高収益から、多くの投資者の注目を集めている。
2013年、世界経済が引き続き回復基調にある中、生物医薬産業は資本市場の信奉を受け、それに伴い生物医薬産業への投資熱が再燃している。
特に注目すべきなのは、まず上場を果たした企業が続出したことである。2013年、全世界で65社の生命科学関連会社が上場したが、これは2012年の38社に比べほぼ倍の数字である。その出資金額は75億ドルにも及び、2012年の12億に比べ実に5倍以上の金額となっている。
次に融資とベンチャーキャピタルが活力を帯びている。2013年11月までで、全世界生命科学産業は募集900億ドルの出資を募集したが、うち債務融資の比率は2012年の3分の2にまで落ち込み約50%、プライベート・エクイティ・ファンド及びベンチャーキャピタルは微増であったのに対し、新規公開株式の総額は2012年の2.5倍近くまで膨れ上がった。
第三に、大手医薬企業の投資が拡大したことである。近年、一部大手医薬品企業は研究開発プロジェクトを減らし、資金と人材を投入した上で新会社を設立している。例えば2013年、グラクソスミスクライン社とメルク社は新会社設立に大量の資金を投入している。
第四に、企業買収が活発化している。2013年の企業買収は以前の衰勢から一転、前11ヶ月の交易額は1157億ドルに達し、2012年に比べ15.8%増加した。その中でも、テルモのLife Technologies社買収額とアムジェン社のOnyx製薬買収額は、それぞれ136億ドルと104億ドルに上っている。
第五に、提携の動きがより緊密になっている。2013年、グローバルな製薬企業は積極的に外部提携先を求めていた。公表されている資料によれば、提携による契約料は既に354億ドルに達し、うち40%が新薬開発や臨床研究に関するものである。
医薬産業の投資対象市場を見ると、現在もなお新興市場が外資やグローバル企業の市場創造及び市場開拓の舞台となっている。しかしその反面、2013年は新興市場において、中国の医薬商業に対する反腐敗(取締)、インドにおける稚拙な特許権保護、一部新興国及び地区政府による医薬品価格のコントロール等多くのトラブルが発生し、投資戦略を適時見直さざるを得なくなった。しかしながら、これらの事件も新興市場を主役の座から引き摺り下ろすには至らず、新興市場は今後も販売や業績において広大な成長が見込まれているのである。
撰稿:何愉 参考:中国国家食品薬品监督管理総局、美国旧金山生物科技投資公司