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【寄稿】中国経済は穏かな動き--市場は安定の中に成長が見られる(2014年10月10日)

【寄稿】中国経済は穏かな動き--市場は安定の中に成長が見られる(2014年10月10日)

     2014年第三四半期が始まり、世界経済のゆるやかな成長体勢がより明確になり始めた。最新のデータによると、全世界の経済成長は過去三年半で三番目に高い水準にある(7月の全世界製造業及びサービス業買付経理総合指数は55.5%、8月は55.1%であった)。国及び地区別に見ると、全世界の主要国家及び地区経済において好況の兆しが見えているが、アメリカとイギリスが力強い成長を見せる一方、アジア及びヨーロッパはゆるやかな成長に留まっている。

     第三四半期以降、中国経済は基本的に平穏な状態を保っており、特に目立った変化は見られない。最新のデータでは、2014年8月の中国製造業買付経理指数は51.1ポイントで前期より0.6ポイント減少したものの、依然分岐点である51ポイントを上回っている。非製造業商務活動指数は54.4ポイントで、前期を0.2ポイント上回った。

     中国製造業の動向には、いくつかの特徴が挙げられる。
    まず穏やかな動きを見せている点は基本的に変わらないが、生産や新規受注は依然高い水準を保っている。
    次に産業構造のシフトへの適応を見せている。今年に入って以降、一般設備製造業、特殊設備製造業、コンピュータ及び通信機器製造業は中国国内製造業全体の水準より明らかに高い成長を見せているが、伝統的産業である基礎原料業や、鉄鋼などの供給過多にある業種の成長は鈍っている。
    更には企業の経営予測が比較的安定している点が挙げられる。第三四半期以降の経営予測は上半期の平均水準を上回っており、下半期における企業の経営見通しの明るさを反映している。

     非製造業の動向及び特徴としては、以下の点が挙げられる。
一、卸売、水上運輸、電気通信業など生産性サービス業の業績が良い。
二、小売、飲食及びホテル業は全体的に低調だが、長期休暇を前にした需要見込みにより、売上予測は全体的に上昇している。
三、新興サービス業であるインターネットやソフト開発など情報技術業は引き続き好調で、需要の伸びも順調である。
四、建築需要ははっきりと落ち込んでおり、基本的に建設業への投資ニーズは落ち着き始めている
五、不動産市場の低調は短期間での改善が見込まれるものではない。不動産業は引き続き低迷を続け、需要も弱いままである。これは不動産市場そのものの下落傾向がしばらく続き、容易に回復しないことを意味する。

     また、気をつけなければならないのは、現在中国国内の投資需要には陰りが見え始め、不動産価格も下落し、また輸出にも減少の徴候が見られており、消費性サービス業も弱含みであるという点である。多くの企業が苦境に面しており、もし需要の回復が遅れれば、企業経営は一層困難になり、その経営活動に一定の影響が出るものと思われる。

     まとめると、現在中国では依然安定成長を最優先目標としており、負担減と活力の増強に主眼を置いた企業改革をもって、未来の中国経済の安定した成長を実現する基礎を固めている状況である、と言える。

     撰稿:何愉    データ:中国国家統計局、JPモルガン・チェース