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【寄稿】世界経済成長鈍化 中国経済急速に減速《第4四半期速報》(2014年12月05日)

 2014年第4四半期は、経済の世界的成長鈍化で始まった。最新のデータによると、業種別では製造業及びサービス業が成長境界線の上に位置しているものの、その成長率は全体的に今年4月以来(半年以来)の低さに留まった。国家及び地区別に見ると、10月に成長の鈍化した主な国は日本(5ヶ月振りのGDP下落)、フランス(GDPの連続6ヶ月下落)、ブラジル(経済減速期に入り、衰退現象が見られる)であるのに対し、比較的強い経済成長が見られたのはアイルランド、アメリカ、イギリスであった。その他の国家でも、経済成長の鈍化が普遍的に見られる。先物指標調査は、現在の全世界GDPがこの半年で最低水準にあり、世界経済が成長の動力を失ってしまったことを示している。

 最新の調査では、2014年10月中国製増業購買経理指数(PMI)は50.8ポイントで、先月に比べ0.3ポイント下落した。また、中国非製造業商務活動指数は53.8ポイントで、先月に比べ0.2ポイント下落している。これは経済運営に一定の下げ圧力があるものの、企業は依然適切な状態で運営されていることを示している。

 その主な特徴は以下の通りである。

 一、製造業の受注が全体的に減っている。データでは、大型企業の受注指数こそ穏かに成長しているものの、中小企業の新受注指数は明らかに下落しており、現在その水準は縮小区域に入っている。

 二、製造業の生産活動が全体的に減少している。中企業で生産指数の下落が明確となり(好景気判断の)ボーダーライン付近にまで落ち込んでいる。小企業の生産指数は上昇したものの、なおボーダーライン下に位置している。現代企業は強まる資金圧力に、労働力や環境保全へのコストが加わり、多くの商品の需給において問題を抱えている。

 三、建筑業の新受注水準が年内最高を更新している。家屋建築と土木建築の市場需要は先月に比べ明らかな伸びを示している。その主な原因は第三四半期以来鉄道、公道、水路への固定的資産投資成長速度が明らかに伸びており、また近々発展改革委員会が高鉄や空港など国内インフラ建設プロジェクトを批准する見込みであるためで、将来のインフラ整備が安定した投資に引き続き貢献することを示している。

 四、消費性サービス業が安定して成長している。主に小売、ホテル業で長期休暇による経済活動が活発になっており、旅行や観光業も明らかに成長している。情報消費と密接な関係があるインターネットやソフトサービスも成長を続けている。第4四半期には消費の穏かな回復体勢が実現する可能性がある。

 五、不動産業界が急速に落ち着きを取り戻し始めている。10月、住宅不動産の商務活動と新受注水準はボーダーラインの下に位置しているが、再び盛り返して来ている。借り家制度の定着に伴い、各地の購買制限政策も相まって、住宅不動産の経済活動に一部回復の兆しが見え、徐々に落ち着きを取り戻し始めている。

 第4四半期に入った今、注目に値するのは、まず資金不足を企業経営に反映させる企業が半数近くに上り、一部企業は資金不足により経営活動を縮小する可能性がある点である。次に、資金不足により一部地区企業間相互に支払遅滞現象が起こり、売掛金回収が遅れる点が挙げられる。三つ目に、現金の流れが悪くなることによって、現在の企業経営活動に一定の影響を与える点である。

 全体的に見ると、第4四半期が始まったばかりの段階で、中国の主な経済指標は合理的区域に位置しており、世界経済と協調した動き以外に突出した異常は見られない。また、就業情勢は良好であり、設備製造、情報技術などのハイテク産業も比較的高い成長を維持している。総合すると、現在の中国経済はその成長速度を緩め、引き続き構造改革を押し進めていると言える。


   (撰稿:何愉)資料:中国国家統計局、JPモルガン・チェース