【寄稿】「安定成長」政策が引き続き力を発揮 中国経済成長への官民一体現象現る(2015年1月14日)
2014年の世界経済は、上半期こそ高い成長を見せたものの、下半期には成長鈍化を見せる態勢となった。最新のデータによると、業種別では製造業、サービス業共に今だ拡大水準にあるものの、製造業の成長率は15ヶ月ぶりの低い基準を示しており、またサービス業においても7ヶ月ぶりの低水準となった。国家及び地区別では、11月に高い経済成長を維持できたのはアメリカ、イギリス及びアイルランドであった。また、経済成長が鈍かったのは中国、日本、インドであった。(アイルランドを除く)欧米各国の経済指標は芳しくなく、フランス、ドイツ、スペインで経済成長鈍化が見られた。この他の経済成長が鈍化した国としてはブラジル、ロシアが挙げられる。先行指標調査を見ると、現在の全世界総生産力は7ヶ月ぶりの低水準となっており、新受注及び新事業関連指数の悪化という形で体現されることとなった。しかし、経済の活性度及び就業に関する指数からは、企業家が将来を楽観している様子が見て取れる。
最新の調査データでは、2014年11月の中国製造業購買経理指数(PMI)は50.3ポイントで、先月より0.5ポイント下落しており、中国非製造業商務活動指数は53.9ポイントで先月より0.1ポイント増加している。これは現在の経済活動状況に一定のマイナス圧力があるものの、「安定成長」政策の効果が現れ始め、中国経済成長の官民一体作用がはっきりと現れている、と言える。
現在の中国経済には次のような特徴が挙げられる。
一、製造業の需要が依然として脆弱である。新受注関連指数は先月に引き続き下落しており、その下げ幅も拡大している。規模別では、大企業こそ受注能力を強く維持しているものの、中小企業の受注は困難な状況にあり、新受注関連指数水準も下落傾向にある。また、新輸出受注指数もこの2ヶ月間下落し、ボーダーライン下に位置しており、輸出への影響が懸念される情勢だ。
二、製造業企業全ての生産経営活動指数が下落している。側近2ヶ月の企業生産量は今年5月以来の最低水準となっている。企業の購買活動も縮小態勢にあり、関連指数は全て下落している。11月の企業生産活動の下落には、短期的な外部要素の影響もある。例えばAPEC首脳会議による大気汚染対策により北京及びその周辺地区で限定生産措置が採られたことは、北方地区の生産活動の伸びに一定の影響を与えたと言えるだろう。
三、建築業の需要に引き続き回復傾向が見られる。建築業市場は閑散期に入っているが、インフラ設備建設とこれに関連する事業は依然活発である。土木建築業の商務活動水準は依然高位にあり、新受注指数も5ヶ月連続で上昇している。その主な要因はこの2ヶ月間、政府による飛行場や鉄道などの基本インフラ整備プロジェクトが動き出した事による。インフラ整備が安定成長を支えることは、各データによっても明らかにされている。
四、不動産業の回復が明確になった。不動産業の商務活動指数は3ヶ月連続で上昇し、特に11月顕著な伸びを示した。その主な要因は多くの都市で不動産購入制限が解除されたことと、中央銀行による硬性需要と不動産価格改善政策の求めに応じた調整が行われたことが挙げられる。不動産政策の定着と共に、不動産市場も回復している、という訳である。
また、末端需要価格水準が下落し、それほど遠くない未来、中国経済が輸入によるデフレ圧力に直面した場合、今後の経済成長に暗い影を落とす可能性がある点には、注目しておかなければならない。
 (撰稿:何愉)資料:中国国家統計局、JPモルガン・チェース