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【会員風采】私の仕事「三字経」(2025年5月9日)

报告文(中文)

キャリア発展という長い道のりの中で、一つ一つの経験は年月を重ねた末に得られる貴重な財産であり、一つ一つの共有は知恵の火花の伝播です。

本日は、中智日本企業倶楽部・智櫻会の終身会員である周為民氏に、職場での貴重な経験を特別に共有していただきます。社会人としての第一歩を踏み出したばかりの新入社員も、現状を打破したいベテラン社員も、この真摯な共有から共感や力を得られることでしょう

丸紅での30年を振り返ると、私は一介の平社員から課長へ、そして副部長、部長、総経理助理、副社長へと昇進し、南京と武漢の2つの分公司では総経理も兼任しました。一時期は、丸紅上海会社で最も多くの役職を担っていた人物となりました。職業人生としては、かなり順調で成功していたと思います。

では、私の成功の秘訣は何か?それは「正・新・和」の三文字に尽きます。この三文字は、私たち丸紅の社是、すなわち経営理念であり、私はそれを座右の銘として、自身の職業キャリアにおいて貫いてきました。

「正」とは、正々堂々とした中国人であることです。

まず大切なのは、強い民族の誇りと自尊心を持ち、それを心から率直に表すことです。面白いことに、丸紅のような日本の商社においては、民族の誇りや自尊心をしっかり持っている人ほど、日本の同僚からより一層尊敬されました。

次に、人として正しくあることです。私は常に率直で裏表がなく、本音で人と接し、偽りや取り繕いをしませんでした。それこそが、長年にわたって上司や同僚たちから信頼され続けてきた理由だと自負しています。

もう一つ非常に重要なのは、自分の国を客観的かつ正確に紹介することです。

私は、丸紅のような多国籍企業が中国でビジネスを展開するにあたり、最も求められるのは中国の国情や現実を客観的かつ正確に理解することだと深く認識しています。したがって、私たち現地社員が主観的な偏見を持たず、事実に基づいて状況を伝えられるかどうかが、日本の同僚や上司、さらには本社における中国に対する認識に直結します。私は普段から、中国の国情、特に重要な理論や方針、政策についての研究を重視し、国内の発展や変化を注視しながら、日本の同僚が理解しやすい言葉で説明するよう心がけていました。

例えば、中国共産党第19回全国代表大会開催後、大会の精神を「新時代」「新たな主要矛盾」「新思想」「新たな目標」「新人事」といった日本人に馴染みやすく好まれる表現に整理し表にまとめ、簡潔でわかりやすく説明したところ、日本の同僚たちにから好評され、良好な効果を上げ得ました。

「新」とは、時代の流れに合わせて進化し続け、絶えず革新を図り、自らの価値を高めていくことです。

私は政府関連業務と事業開発の仕事に30年にわたり従事してきましたが、中国国内の改革開放が拡大・深化する中で、私の業務内容や重点も絶えず変化してきました。初めの頃は、会社と日本の製造業企業が長江デルタ地域に設立した合弁企業への支援・サポートを中心に行っていましたが、その後は丸紅グループによる中国国内投資プロジェクトの初期調査・立案・立ち上げにも深く関与しました。さらに、会社の戦略的重点が武漢へと中部市場にシフトする中で、私はその開拓を担当し、地元企業との深い協業を推進しました。各時期において、それぞれの役割を積極的に果たし、相応の貢献をしてきたと思っております。


会社から贈られた「25周年貢献賞」

総じて言えるのは、これらの年月の中で最も重要だったのは、常に自分自身の価値と役割を時代に合わせて進化・革新させ、会社における自分の存在価値を高め続けてきたことです。

「和」とは、上司・同僚・部下の三方面との調和の取れた関係を築くことです。 

丸紅での勤務期間中、私は常に上司・同僚・部下との関係を丁寧に築くことを心がけてきました。上司に対しては、忠誠を尽くして誠心誠意サポートし、自分の考えや提案があるときは正面から率直に伝え、決定事項に対しては全力で実行し、最善の成果を出すことを目指してきました。同僚に対しては誠実に接し、惜しまず協力しながらも、派閥をつくったり、個人的な関係に頼ったりはしませんでした。部下に対しては、厳しさと寛容さのバランスを大切にしていました。原則的な問題には一切妥協せず、ルールに基づいて厳しく対応しながらも、原則に関わらない部分では寛大に接し、できるだけリラックスした人間関係と職場環境をつくるよう努めてきました。そして、部下が気持ちよく働けるように、一人ひとりの主体性を尊重してきました。

この三方面との関係をうまく築いてこられたからこそ、私は丸紅での30年の職業キャリアを順調に積み重ねることができたのだと思います。


2024年7月、定年退職の際に丸紅上海の社長が中心となり開催された送別会