ホーム > HRニュース > 中国HRニュース> 在中国日系企業の経営幹部が語る!中国で実践するESG(2026年9月19日)

在中国日系企業の経営幹部が語る!中国で実践するESG(2026年9月19日)

报告文(中文)

外資系企業は、中国の持続可能な発展に積極的に参画し、事業の成長と環境保護、社会貢献の両立に取り組んでいます。中国に進出する日系企業も、「2026年ESG優良実践事例」への参加などを通じ、匠の精神や技術力の強みや経験を活かし、中国の持続可能な発展に向けた具体的な取り組みを進めています。

9月19日、北京・首鋼園で開催された「ESGイノベーション年会(2026)」には、政府関係部門、中央企業、地方国有企業・国有資産監督管理部門、主要民営企業、研究機関、社会組織などから、約1,000名の経営者及び来賓、代表者が出席しました。その中には、中智日本企業倶楽部・智櫻会の会員企業を代表する、多業界にわたる日系企業11社の経営幹部の皆様も出席しました。

『グローバルな視点・共生する未来』をテーマとした分科会では、日系企業によるパネルディスカッションが行われ、中智日本企業倶楽部・智櫻会部長の馮串紅がコーディネーターを務めました。「匠の精神と責任――中国における日系企業のサステナブル発展の課題と経験」をテーマとしたパネルディスカッションには、みずほ銀行(中国)、横河電機(中国)投資、麒麟(中国)投資、キヤノン(中国)、伊藤忠(中国)集団、島津企業管理(中国)、東京海上日動火災保険(中国)をゲストとして迎え、会場では活発な意見交換が行われ、高い評価をいただきました。

本記事では、会場に出席した日系企業の代表者に、ESGに対する考え方や具体的な取り組みについてお話を伺いました。


「難しいからこそ挑む」経営の覚悟

株式会社 みずほ銀行 常務執行役員

みずほ銀行(中国)有限公司 副董事長・行長 吉浦 賢哉 氏


Q:経営者の立場から見て、ESGの本質は何だとお考えでしょうか?

ESGは個別テーマではなく、企業経営全体の課題である。環境への配慮や社会貢献、ガバナンス強化といった個別のテーマに分かれているように見えますが、実際には気候変動、資源制約、人権などが複雑に絡み合っています。そのため、経営者には短期的な最適化ではなく、長期的な視点でバランスよく判断する姿勢が求めると思います。ESGは守りだけではなく、企業価値と社会価値を高める攻めの経営である。リスクを避けるための守りではなく、企業価値と社会価値を同時に高める攻めの経営だと考えています。脱炭素や循環型社会への移行を新たな事業機会と捉え、資金・人材・技術をつなぐことで、新しい価値や産業を生み出すことができます。まさに中日企業がシナジーを発揮できる分野でもあると思います。さらに重要なのは、ESGを定着させるには、現場を巻き込むことが重要。ESGを経営陣だけの言葉にしないことです。現場の社員一人ひとりが、自分の仕事が社会課題の解決につながっていると実感できて初めて、ESGは組織に根づきます。

 

ESGの本質とは、企業の持続的成長そのものをつくる経営の中核であり、「難しいからやらない」のではなく、「難しいからこそ挑む」経営の覚悟にあるのだと思います。


みずほフィナンシャルグループは日本を代表する三大総合金融グループの一つ。みずほ銀行(中国)は2007年に設立され、国内に13の拠点を展開し、幅広い金融サービスを提供している。

「測る力」と「つなぐ力」で、持続可能な未来をつくる

横河電機(中国)投資有限公司

董事総経理 小松 幸司 氏


Q:これまで培ってきた経験や技術力を、持続可能な発展にどのように活かしていますか?

横河電機中国は、60年以上にわたり中国で培ってきた測定・制御・デジタル技術を活かし、お客様の生産効率向上や省エネルギー、品質向上を支援し、CO₂排出量や資源消費の削減に貢献してきました。自社工場でも省エネや再生可能エネルギーの活用を推進し、「Trusted Green」の考えのもと、製品のライフサイクル全体で環境負荷の低減に取り組んでいます。そしてこれからも、「測る力」と「つなぐ力」で、より持続可能な未来づくりに貢献していきたいと考えています。


横河電機グループは1915年に東京で創業し、産業オートメーション・計測・制御分野を専門とするグローバル企業。

CSV経営を通じて、社会とともに成長する

麒麟(中国)投資有限公司

董事総経理 高宮 創平 氏


Q:CSV経営を通じて、どのようにESGを実践していますか?

キリングループでは、2012年から、社会課題の解決に貢献しながら経済的価値を創出するCSVをグループ全体の経営方針に掲げており、麒麟中国では、「環境負荷の低減」をCSVの柱と位置づけ、ビジネスパートナーと協働しながら、バリューチェーン全体でグリーン・イノベーションを推進しています。また、多様な人材が活躍できる組織づくりや、学習・健康支援、残業削減にも取り組んでいます。今後も当社は、CSV経営の下、従業員一人ひとりを核にしながら、ESGを実践し、社会とともに成長を実現していきたいと思います。


ビール、飲料、健康食品の製造・販売を主な事業とし、CSV経営を中核とする。

「共生」の理念を受け継ぎ、持続可能な未来を共に創る

キヤノン(中国)有限公司

企業マーケティング戦略本部高級総経理 金子 裕介 氏


Q:共生と持続可能な発展へ向け、どのような取り組みをしていますか?

キヤノンは、サステナビリティを重要な経営課題と位置づけ、「共生」の理念のもと、文化・教育・環境など幅広い分野で取り組みを進めています。文化分野では映像技術を活用して文化遺産の保護に貢献し、教育分野では「キヤノン杯」日本語弁論大会を通じて中日交流を支える人材を育成しています。また、野鳥観察などの公益活動を通じて生物多様性の保全にも取り組んでいます。このたび第17冊目となるサステナビリティレポートを正式に発行いたしました。これは長期的な責任ある経営を継続して実践している表れでもあります。今後も関係者と手を携え、知行合一の精神でサステナブルな輝かしい未来を共に創り上げていきたいと願っています。


中国の改革開放初期に進出した外資企業の一つであり、40年以上にわたり中国市場に根ざし、映像と光学技術を通じて、中国の社会と消費者に感動を届け続けています。

「三方よし」で実現するサステナビリティ

伊藤忠(中国)集団有限公司

東アジア総代表付 津元 佳比古 氏


Q:中国で事業展開する中で、どのように社会貢献を実現していますか?

伊藤忠は、「三方よし」の理念を根幹に据えて持続可能な発展を推進し、本業を通じてさまざまな社会課題の解決に取り組んでいます。中国では、第一に、「脱炭素社会を見据えた事業拡大」「循環型ビジネスの主導的展開」「バリューチェーン強靭化における持続的成長」といった経営活動を通じて、地域経済の発展に貢献しています。第二に、図書寄贈、持続可能な発展をテーマとした講座、コーヒーかすの再利用などの社会貢献プロジェクトを実施し、青少年の健全な成長を支援するとともに、環境保護や農村振興を推進し、社会との良好な関係を築いています。第三に、すべての社員が「三方よし」の理念を深く理解し、それを日々の業務に落とし込めるよう、6年連続で持続可能な発展に関する研修を実施しており、受講率はいずれも100%を達成しています。


伊藤忠は1972年、「日中友好商社」として日中貿易を再開し、1993年には伊藤忠(中国)集団有限公司を北京で設立しました。会社は「三方よし」の理念を掲げ、多分野において経済的価値と社会的価値の両立を推進しています。

製品を通じて、業界全体のサステナビリティを推進する

島津企業管理(中国)有限公司

分析計測事業部長兼経営企画部長 林 靖也 氏


Q:業界全体の持続可能な発展のため、どのような取り組みをしていますか?

当社にとってESGへの取り組みは、分析・計測機器メーカーとしての社会的責任を果たすことであると同時に、業界全体が目指すべき方向性を示すものでもあります。グリーン調達、製品の省エネルギー化、消耗品使用量や廃棄物の削減、温室効果ガス排出量の低減など、幅広い活動を進めています。

特に製品については、設計段階から、省エネルギー、軽量化・小型化、試薬使用量の削減、廃棄物排出量の低減を一貫した設計思想として取り入れています。

さらに、製品を通じた取り組みに加えて、植林活動や科学教室などの社会貢献活動も実施しています。従業員一人ひとりがこうした活動に参加することで、ESGに対する意識を組織に根付かせ、従業員、企業、社会が共有できる価値の創出を目指しています。

今後も、製品と事業活動の両面から環境負荷を低減し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。


創業から151年の歴史を持ち、「科学技術で社会に貢献する」ことを社是とし、製品の研究開発・製造から、お客様へのサービス提供や製品の使用に至るまで、持続可能な発展の理念を一貫して実践してきた。

社員から社会、そしてお客様へ、3つの柱で進めるESG

東京海上日動火災保険(中国)有限公司

総経理助理 烏日楽 氏


Q:ESGの取り組みにおいて、どのような課題に取り組み、どのような成果につなけていますか?

当社のESGは、「社員の健康促進」「社会貢献」「お客様への新たな価値提供」の3つを柱としています。「社員の健康促進」では、2025年を「健康経営元年」とし、社員検診率100%や運動会、健康測定設備の導入などを実施し、ウェルビーイングスコアも昨年の53点から90点へ大幅に向上しました。「社会貢献」では、日本で8年連続「健康経営銘柄」に選出されてきた知見を活かし、上海金融業界の制度構築をサポートしてきました。「お客様への新たな価値提供」では、自社の社員健康促進や金融業界での取り組みの知見を「職場健康管理ソリューション」として展開し、お客様の社員の健康管理をサポートするなど、従来にはなかった新たな価値の提供に取り組み始めています。


中国で初めて設立された日系保険会社として、保険事業と社会的責任の実践を通じて持続可能な発展を推進している。


また、「ブレークスルーとエンパワーメント」をテーマに、現地企業との合同パネルデスカッションに登壇されたプロテリアル投資(中国)とミスミ(中国)の皆様にも、ESGの実践や持続可能な発展に向けた取り組みについてお話を伺いました。

「高効率な鉄心」で切り拓く新エネルギーの未来

プロテリアル投資(中国)有限公司

董事・副総経理 集団管理本部本部長 孫海雄 氏


Q:高性能材料の技術力を、ESGによる価値創出にどう活かしていますか?

新エネルギー車、蓄電、ロボット、低空経済などの発展には、エネルギー変換効率の向上が欠かせません。当社が研究開発する鉄コバルト合金は、モーターの鉄心に使用される高性能な軟磁性材料で、試験では一部の用途で出力トルクを約14%向上させ、同じ出力で電流消費を約14%削減できることを確認しています。材料性能の向上を通じてお客様のエネルギー効率向上や資源消費削減を支援し、産業チェーンや社会に持続可能な価値を創出することが、当社の考えるESGです。


100年以上にわたって培ってきた材料技術を基盤に、金属材料の研究開発・製造を中核事業とする。お客様との協働によるイノベーションを推進し、高品質・高性能な製品・サービスを継続的に提供することで、事業の拡大とグローバルな発展に取り組んでいる。

「成長連鎖経営」で進めるESGのローカライズ

ミスミ(中国)精密機械貿易有限公司

経営総務部部長 李波 氏


Q:ESGのローカライズをどのように実践していますか?

ミスミグループでは、「成長連鎖経営」をグローバル共通の基本理念とし、製造業の非効率や無駄をなくし、循環型経済への転換を目指しています。中国では、本社のモデルをそのまま導入せず、中小製造企業の在庫過多や資材の無駄といった課題に合わせ、短納期やデジタル技術を活用した供給体制を構築しています。さらに、サステナブル製品の開発やスマート農業などにも取り組み、中国で生まれた事業を海外市場にも展開しています。今後もESGと本業を融合させ、国内サプライチェーンの低炭素化に貢献していきます。


製造業部品を、ワンストップで調達(設計含み)できるデジタルプラットフォームとして、FA、金型、電子部品、MROを中核事業とし、現地に根ざした取り組みを通じて、産業チェーンのグリーン・低炭素化を支援している。

ESGは、在中国日系企業にとって、匠の精神と技術力をさらに進化させていくための挑戦です。それは中国社会から信頼と実力を認めてもらう道に繋がります。企業自身の健康経営を映し出す鏡ともなります。

今回の皆様からのご共有が有益な参考となれば幸いです。

中智日本企業倶楽部・智櫻会は、これからも中国における日系企業の健全で持続的な発展を支援してまいります。