《生成AIがもたらす知的労働の変化》会員交流会を開催(2026年4月27日)
2026年4月27日(月)、中智日本企業俱楽部・智櫻会総第354回《生成AIがもたらす知的労働の変化》会員交流会を、中智ビルにて開催しました。
交流会は、積水化学(中国)、島津企業管理(中国)、バンドー(上海)、RGF、東京海上日動火災保険(中国)、日郵物流(中国)、上海櫻花文化用品、キヤノン(中国)、清和(上海)国際貨運代理、富士通(中国)信息系統、三井農林(上海)、上海吉田拉鏈、三井化学(中国)、全日空航空、梯希愛(上海)、化成工業発展等の会員企業から、総経理、副総経理および管理部責任者の皆様が参加しました。
|
|
交流会に先立ち、中智日本企業倶楽部・智櫻会の高級経理である魯亦雯が、本交流会の開催趣旨について説明を行いました。現在の中国ビジネス環境は変化のスピードが一層加速しており、人件費の上昇、人材獲得競争の激化、さらにはローカルのデジタル企業の台頭などを背景に、日系企業が現地市場で事業を深化させていくうえで新たな課題に直面しています。こうした中で、人材は企業の持続的成長と価値創出を左右する中核的な要素となっています。本セミナーでは、生成AIが知識労働に与える深い影響に焦点を当て、AIの活用によって実現される新たな知識管理のあり方を分析するとともに、人とAIの効率的な協働の在り方や人材戦略の革新について探ります。これにより、企業の持続的かつ安定した発展の実現を支援します。
|
|
交流会の講師は、アクセンチュア大中華区 AI・データ事業部総裁の曹琦峰氏が担当しました。
|
|
曹先生はまず、AI技術の進化と知識労働の変革をテーマに、詳細な解説を行い、AIが基礎的なツールから自律的なエージェントへと発展していくプロセスを体系的に説明しました。現在のAIはもはや単なる業務補助にとどまらず、自律的な操作や複数ツールの連携、複雑な業務の一貫処理を実現しつつあります。さらに、RAG(検索拡張生成)などの先端技術を活用することで、企業固有のデータと組み合わせた実務に直結するソリューションの創出が可能となり、運用管理、情報検索、技術最適化など多様な領域で広く活用されています。これにより、従来の知識労働の枠組みは大きく変化しつつあります。
|
|
また曹先生は、汎用的なAIだけでは競争優位性を構築することは難しく、企業の真の強みは、独自の業務知識、専有データの蓄積、そして業界に対する深い洞察にあると指摘し、AIの本質的な価値は、こうした企業固有の強みを増幅し、組織全体の生産性と運営効率を飛躍的に高める点にあると強調しました。続いて曹先生は、AIと知識、人とシステムの新たな関係について深く分析しました。AIはゼロから核心的価値を創出する能力を持つわけではなく、人間が蓄積してきた経験や本質的な認識に依拠することで、その効率を大きく拡張するものです。AIの能力が進化し続ける中で、システム設計の考え方も根本的な転換期を迎えており、今後はAIを中核として構築され、インテリジェントな協働モデルに適応していくことが求められます。こうした変化のもとで、ビジネスパーソンの役割も大きく再定義されつつあります。従来のような業務遂行や基礎的なオペレーション、反復作業に重きを置くのではなく、ルールの設計や基準の明確化、方向性の判断といった上流工程へと重心が移行しています。プログラミングや業務プロセスの実行といった基礎的な作業は徐々にAIに代替される一方で、人間には意思決定の基準や判断ロジックを明確に定義し、実務に落とし込むことが一層求められています。
|
|
最後に曹先生は、人とAIの協働は単なる効率向上にとどまるものではなく、人間の思考様式そのものの段階的進化であると指摘しました。生成AIは知識労働の本質を大きく変革し、人と企業の双方に変革と高度化をもたらしています。今後は、人間が監督者および意思決定者としての役割を担い、AIが実行業務や分析業務、反復作業を担うことで、明確な役割分担に基づく協働体制が形成されていきます。企業は、自社ならではの知識資産に立脚し、AIを前提とした業務設計に適応しながら、人とAIの最適な協働関係を構築することが求められます。これにより、デジタル変革の潮流に対応し、持続的かつ差別化された競争力を確立することが可能となります。最終的には、「人が教え、AIが学び、AIが発見し、人が進化する」という知の循環が生まれ、人とAIが共に進化し続ける新たな知識労働のあり方が形成されていくと強調しました。
|
|
約1時間半にわたる講演の後、質疑応答の時間では、会員の皆様は日々の業務における実際の課題について曹先生と活発に意見交換を行い、理解をさらに深めました。
また、本研修は、アクセンチュア大中華区 製造・流通本部董事・総経理、日本企業業務主管の河原崎氏のご支援のもと実施されました。交流セッションでは、日系企業は製造およびサービス分野において豊富な経験を有し、業務プロセスの整理も進んでいることから、生成AIを適切に活用することで、知見の継承とイノベーションをより効果的に実現できるとの見解が示されました。さらに、少子高齢化により労働力が一層貴重となる中、定型業務を無人のAIエージェントに委ねることは、24時間稼働可能な最適な選択肢となり得ると指摘されました。今後、企業が生成AIを活用するか否かは競争力に大きな差をもたらす重要な分岐点となり、AIを適切に指導・活用できる優れたマネジメント人材が、企業の競争優位を左右するとの考えが共有されました。
|
|
2026年、中智企業倶楽部は引き続き会員の皆様のニーズに合ったサービスを提供し、専門的な知識と質の高いサービスで、会員企業の皆様が中国において挑戦し続け、持続的に発展できるよう支援してまいります。当倶楽部のサービスに対する貴重なご意見やご提案を歓迎いたします。皆さまのご関心とご参加をお待ちしております!