ホーム > HRニュース > 中国HRニュース> 「課長塾IN上海」【実践篇】開催のご報告(2017年11月15日)

「課長塾IN上海」【実践篇】開催のご報告(2017年11月15日)

 中智上海経済技術技術合作公司と日本経済新聞社旗下日経BP社が共同で開発した研修プロジェクト「課長塾IN上海」の第三期【実践篇】が、11月14日より11月15日まで上海市で無事開催されました。

 「課長塾IN上海」研修プロジェクトの第一期と第二期はそれぞれ「『無敵の』企業とリーダーを育成するには」「如何にして活力あふれ多くの収穫をもたらすチームを組成するか」をテーマとして、2016年と2017年春に開催されています。今回の第三期では、経営管理の原理原則を前提とした「部下の指導方法」「業務のプライオリティ」をテーマに、「人を導く秘訣」「限られた時間内で最も優れた成果を挙げる方法」など企業管理の道について学びました。

  

 日経と中智は、多方面で提携事業を展開しています。中智を通じ中国で展開されているハイエンド人材向け研修カリキュラム「課長塾」は、2016年の第一期と2017年春季の第二期の開催において大きな成功を収めました。前二期に参加した企業の強いリクエストに応える形で、中智と日経BP双方の上層部の積極的な事業推進の下、「課長塾IN上海」研修プロジェクト第三期は2017年秋季、成功裏に開催されました。

 「課長塾IN上海」研修プロジェクトの第一期と第二期はそれぞれ「『無敵の』企業とリーダーを育成するには」「如何にして活力あふれ多くの収穫をもたらすチームを組成するか」をテーマとして、2016年と2017年春に開催されています。今回の第三期では、経営管理の原理原則を前提とした「部下の指導方法」「業務のプライオリティ」をテーマに、「人を導く秘訣」「限られた時間内で最も優れた成果を挙げる方法」など企業管理の道について学びました。

  

 開催に先立ち、中智上海経済技術合作公司日本企業倶楽部部長馮串紅女史より主催者を代表しての挨拶がありました。馮部長は、「在中日系企業の人材育成は、日本側駐在員の管理能力向上と、日系企業の現地化プロセスにおける経営管理に関わる中国籍従業員の養成、という2つの課題を抱えています。これらを解決すべく、中智は唯一の国務院国資委直属の全国的な人的資源サービス企業グループとして、日本最大の経済メディアである日経BP社と提携し、『課長塾IN上海』の研修プロジェクトを共同で開発致しました。本研修は今期より【実践篇】に入ります。【実践篇】は日本でも著名な行動科学の創始者である石田先生、『インバスケット』で有名な鳥原先生に講師を勤めて頂きます。二日の研修を通じ、部下の指導方法や賢い業務分配のテクニックを十分に学んで頂けることを、願ってやみません」と述べました。

  

 引き続き、日経BP社経営メディア本部本部長、「課長塾」塾長の石塚健一朗氏より日本での「課長塾」事業についての紹介が行われました。「課長塾」は日本で開講されてから今年で7年目を迎え、2000名に上る参加者が学んでいます。「課長塾」のカリキュラムには「知識」「技能」「メンタル」など多くの要素が含まれており、現実味の薄い理論ではなく、実際の企業経営により力を発揮できるより実践的な内容により、日本各地の企業の優秀な中間管理職人材を養成してきました。石塚氏は、「課長塾IN上海」プロジェクトによって、在中日系企業に対し多くの優秀な管理者育成の手助けができればと期待を寄せていました。また、石塚氏は、受講生の皆様が「管理者とは」何かについて議論し、講義開始前のよいウォーミングアップとして「管理者」について真の意義を考えることを促しました。

  

 課長塾第三期【実践篇】は二日間の日程で開かれ、一日目は石田淳先生、二日目は鳥原隆志先生による講義が行われました。

 開講初日、石田先生は行動科学の視点から有益な部下の指導方法について参加者たちと検討を重ねました。実務において、部下の業務パフォーマンスの差は単に個人の能力差に過ぎないのか?上司の指導方法に原因を見つけられないか?石田先生は、行動科学に基づいた部下の指導方法とは、上司と部下の相性、自身の直感や経験に頼らずに、部下の仕事上の成長を真剣に助けるものであるとしました。

 簡単な例として、ミネラルウォーターをポットへ移し替えるのにどれだけのプロセスが必要か、というものがあります。大多数の人が2〜3個のプロセスで簡単に成し遂げられるものだと思いがちですが、一つ一つの動作をつぶさに見ていくと、20ものプロセスに分解できるのです。もし水の移し替えをやったことがない子供にこれをやらせるとしたら、どのように伝えればその子供はうまく水の移し替えが出来るようになるでしょうか?部下へ指示を伝える際も同じで、管理者にとっては言わなくても分かる事であっても、部下にとっては全くの手探りなのです。多くの場合、部下は積極性を欠いているのでも、それに手を焼いているのでもなく、単に具体的にどうすればよいかが分からないだけなのです。

 日系企業には「暗黙の了解」という言葉を重んずるきらいがあり、上司は明確な指示を出す必要がありません。それどころか、部下は上司の眼光一つで何をすべきかを理解し動くことができます。しかしこれは豊富な業務経験と相互間の黙約によって成り立つもので、上級及び中級管理者間では機能するかも知れませんが、一般社員からすると業務の経験不足からなかなか難しいものです。中間管理職として部下を指導する際には目標を多くの具体的な段階に細分化し、部下を一歩一歩当期の目標達成に導いていけば、それほど大きなギャップは現れないでしょう。また、一つの技能は50回の反復練習があって初めてできるようになるものです。指導効果の強化と持続には、部下へ反復練習の機会を与える必要があるのです。

 石田先生は更にMORSの法則や、Want-to-do曲線とHave-to-do曲線を用いた具体的な部下への指導方法の他、感謝や承認、帰属感や一体感、成長機会や具体的な指示などにより如何にして部下へ金銭以外の奨励や報いを与えるかについて解説していました。

   

 今期の研修には、医療機器、建設設計、機械製造、貿易販売、旅行、物流など各業種の著名な日系企業からなる中智日企倶楽部・中智智櫻会の会員企業のほとんどから、日中の管理者が集まりました。その中には、「課長塾IN上海」第一期と第二期に参加し、より学習効果を深め、より効果的で実践的な業務メソッドを掴むために、期待して第三期の研修に参加した方も多く、また上海の日系企業のみならず広州や杭州など全国各地の支社からの参加者も見られました。各業界各地方からの参加者が「課長塾IN上海」第三期に一斉に集い、各々が業務における困難を解決するべく、情熱をもって共に学び、活発に議論し、非効率で忙しい業務環境としないための実践におけるポイントを探求していました。



 
  

  

 日系企業でよく聞かれる言葉に、「仕事の報いは仕事である」というものがあります。素晴らしい仕事を成し遂げ上司の信任を得た後は、往々にしてより重要な仕事を任されるものです。中間管理職としては、部下の業務への指示、反応、支援を行わなくてはなりません。それでは、大量の重要な案件のうち、如何にしてどれを最優先させるかを判断し、限られた時間内でよりよい成果を出すべきでしょうか?今回の課長塾【実践篇】の二日目は、鳥原先生と「インバスケット」による難題解決方法を学びました。

   

 「インバスケット」とは20世紀の50年代、教育訓練の成果を測るためにアメリカ空軍によって開発されたメソッドです。このメソッドは現在の業務で行くと、未処理の仕事を一つのバスケットの中に放り込み、制限時間内に優先順位を決め最適な方法で処理していく、というものです。

 鳥原先生は「インバスケット」の基本概念を説明した後、参加者へ「インバスケット試験」を行いました。これは、特定の企業と身分になりきり、ある環境の下で1時間以内に20件のタスクをこなすというものです。1時間の緊張感溢れるテストの後、鳥原先生は参加者たちへ処理結果とその分析を詳細に行っていました。時間に限りがあり全てに最善を尽くせない状況下にあっては、優先順位の決定が至極重要なものとなります。大量の業務をこなさなくてはならない中でも、一握りの重要な業務が大部分の業務に決定的な作用をもたらします。この最重要な業務を制限時間の20%以内に高いクオリティで完了させることができれば、このテストで80点以上が取れるという訳です。

 それでは、業務の優先順位をどのように決定すれば良いのか?鳥原先生は、業務を「重要度」と「緊急度」の2つの尺度を用いて4つに分類し判断するという方法を取っていました。



 
  

 この他、鳥原先生は問題の識別、情報収集、対策策定の要点、利害関係者との意思疎通などの具体的な方法について述べました。参加者たちは、「インバスケット試験」で分析された優先順位の最も高い案件について、活発に意見を交わし合っていました。このような観点からの討議と先生の評価は、参加者たちの問題解決能力をより一段と高めたことでしょう。

  

 二日間のカリキュラムを終えた後、15日夜には会場で修了式が開かれ、中智日本企業倶楽部馮串紅部長と日経BP中国社谷口総経理が参加者たちへ修了証を手渡しました。祝杯を揚げた後、皆で「課長塾IN上海」第三期【実践篇】の成功を祝い、参加者が壇上で感想を述べ今回の研修を高く評価するひと幕も見られました。参加者たちは皆、課長塾で学んだことが実際の仕事に生かされ、効率の向上と大きな成果の獲得につながると確信していました。今後の仕事で実感したこともまた、深く探求されていくことと思われます。

 企業の内部研修と違い、課長塾にはあらゆる業種のあらゆる企業から参加者が集まりました。それぞれの業種、企業が独自の成長段階にあり、物事の捉え方や解決方法もそれぞれに異なっています。困難に直面した際には、相互交流と思考のぶつけ合いが新たな風を呼び、それぞれに問題解決の切り口を与えるものです。また、課長塾では日本人駐在員と中国人従業員が対等な立場で交流を深め、深い理解と共通認識を有するようになりました。まさに生きた異文化学堂と言っても良いかもしれません。

 「課長塾IN上海」研修プロジェクトは、引き続き上級管理職の日本籍駐在員や現地化において経営に参画している中国籍スタッフへ良質な管理者研修を行ってまいります。中智公司は今後も日経BP社と提携し、課長塾の充実に取り組み、「課長塾IN上海」研修プロジェクトが多くの日系企業管理者にとって再成長の揺り籠となるよう、努力する次第です。

  

  





  

课长塾 in 上海  受講者の声